出会いがあり、別れがある。現役時代に熱中していた力士、親方の「定年」を目にするようになった。元大関琴風の尾車親方は4月に日本相撲協会の定年となる65歳の誕生日を迎えるが、今場所後に部屋を閉鎖の予定。そんな去就に感慨を抱くボクシングの元3階級制覇王者がいた。

現在は大阪の3150ファイトクラブ会長の亀田興毅(こうき)氏(35)。父史郎氏が琴風の大ファンで、下の名前・豪規(ごうき)から名付けた。琴風が初優勝したのが81年春場所。興毅会長は86年生まれだが、「ことかぜごうき」の響きが「かっこええなあ」と史郎氏は、まだ見ぬ長男にちなんだ名前をつけることを決めていたという。

亀田家は元横綱朝青龍と深い交流があり、トレーニングにも相撲を取り入れてきた。興毅会長も幼少期、現役時代の琴風に会ったことがあるという。「とにかく前に出る相撲が印象的。『こうき』として偉大な人。1つの歴史が終わる時、新たな時代が進んでいく。寂しさはあるが、同じ『こうき』としていい名前をもらったと思っている。自分も親方に負けないような人物になっていきたい」。歴史はつむいでいく。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)