長く束ねたロングヘア、規格外ともいえる両腕の太さ。WWEのビアンカ・ブレア(33)は昨年4月にスマックダウン女子王座を獲得し、今年4月にロウ女子王座を奪取。女子最高位となる両シングル王座を手にし「EST(最上級)」の愛称通りの活躍をみせている。

陸上競技と重量挙げで鍛えたパワフルな技を駆使し、WWE女子のトップ戦線の先頭を突っ走るブレアの近況に迫る。

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自ら「EST」を名乗るロウ女子王者ブレアは全身のシルエットだけでもインパクトがある。長いロングヘアを束ね、両腕の太さを筆頭に筋肉質な肉体の持ち主。まるで格闘ゲームのキャラクターのような存在感がある。注目されたのは21年1月の女子ロイヤルランブル戦(30人出場の時差式バトルロイヤル)だった。最後の1人に残って初優勝。最高位王座挑戦権を得たとともに、ザ・ロック(ハリウッド俳優ドゥエイン・ジョンソン)に次ぎ、2番目となるロイヤルランブル戦を制覇したアフリカ系アメリカ人レスラーとなった。

必殺技KOD(キス・オブ・デス)はパワフルそのもの。アルゼンチン式背骨折りのように相手を担ぎ、顔面からたたきつける開脚式フェイスバスターとなる。レスラーを軽々と持ち上げるパワーは陸上競技の障害走選手として活躍した下半身のバネ、そしてWWE入り直前、負傷するまで続けていた重量挙げで鍛えた両腕の力がバックボーンにある。ベンチプレスの記録もWWE女子トップ。17年のメイ・ヤング・クラシックでは2回戦でカイリ・セイン(現KAIRI)に敗れたものの、着実にプロレスへの順応性をみせ、WWE女子トップまで駆け上がってきた。

昨年4月のレッスルマニア37大会ではスマックダウン女子王者サーシャ・バンクス、今年4月の同38大会ではロウ女子王者ベッキー・リンチと年間最大の祭典で2度も王座奪取する爆破力を持っている。ブレアの次のターゲットとしてリング復帰間近といわれる女子最高位王座12度戴冠を誇るシャーロット・フレアーを指名。過去3度対決しているが、1度も勝利できていない。「女王様」に向けて「誰が(王座に)必要なものを持っているのか、誰が本当にもっともタフなのか実際に示したい」とやる気満々だ。

またフレアーとの対戦する舞台も「サウジアラビアより良い場所はありますか」と今年11月5日、リヤドで開催される予定のWWEクラウン・ジュエル大会での中東決戦を指定するなど女子王者としての貫禄がついてきた。デビュー当初から自ら「EST」を自称し、約7年間の時を経てWWE女子で最上級の存在になろうとしている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ビアンカ・ブレア 1989年4月9日、米テネシー州ノックスビル生まれのアフリカ系米国人。テネシー大時代は陸上競技の障害走に没頭。その後、重量挙げ選手としても活躍したが、肋骨(ろっこつ)軟骨炎などの負傷が原因で引退。元重量挙げ選手で五輪出場の経験もあるWWEレジェンド、マーク・ヘンリーに誘われ、WWEのトライアウトに参加。16年に契約し、WWE傘下のNXTで活動。20年4月からスマックダウン昇格。21年1月に女子ロイヤルランブルを制覇。同4月のレッスルマニア37大会でスマックダウン女子王座獲得。今年4月のレッスルマニア38大会でロウ女子王座を獲得。18年にWWEのタッグ戦線で活動するモンテス・フォードと結婚。フォードの前妻との間に誕生した子供2人と家族4人で生活。170センチ、75キロ。

長く束ねたヘアと両腕の太さがトレードマークのロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved
長く束ねたヘアと両腕の太さがトレードマークのロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved
EST(最上級)が愛称のロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved
EST(最上級)が愛称のロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved