8月からWWEロウに昇格した元NXT女子王者イヨ・スカイ(紫雷イオ=32)が30年ぶりとなる英国スタジアム大会で日本人対決に臨む。9月3日(日本時間4日)、英ウェールズのカーディフで開催されるWWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスル(CATC)大会でアスカ(40)との6人タッグ戦が決定。約7万人が集結するWWEの英ビッグイベントで日本人同士が対決する意義、「姉御」アスカとの関係性など日刊スポーツのインタビューで明かした。今回は前編となる。

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世界のWWEファンが注目する30年ぶりの英スタジアム大会まで、1週間を切った。スカイにとってWWE加入後に初の英国でのファイトになる。ベイリー、ダコタ・カイと組み、アスカ、アレクサ・ブリス、ロウ女子王者ビアンカ・ブレア組との6人タッグ戦に向けて意気込みを口にした。

「スターダム時代に英国で試合しましたが、印象に残っているのが英国人のプロレス熱がすごいということです。今回のCATC大会は7万人がスタジアムに入ると聞き、とんでもないビッグマッチだなと思います。対戦相手にはアスカさん、超人気者のアレクサさん、王者ビアンカもいる。願ったりかなったりなシチュエーションです。日本人女性の活躍としても注目してもらえればと思います。そして、こんなに世界の大きな舞台で日本女子が頑張っているという姿をみせる舞台でもあるので見てほしいです」

日本ではアスカと10~11年に姉美央と3人でユニット「トリプルテイルズ」を組み、何度も自主興行も開催していた間柄となる。

「知っている方は少ないと思いますが、10年以上前にアスカさんと一緒にユニットを組んでいました。それほど関係性の深い選手。昔も今も『お姉さん』と思っています。尊敬する部分もすごく多い。WWEで生き残ること、地位を確立させることが、WWEに在籍していればいるほど、どれだけ難しいのか思い知らされています。自分が次のステップに進めば進むほど、それを痛感します。この道を通ってきたアスカさん、やっぱりすごいなと」

WWEでもアスカの背中を見て、走り続けてきた。現在は敵対関係にあるが、昔も今もアスカへの尊敬の念は変わらないという。

「アスカさんは常に第一線を走り続けてます。お客さんの前に来た時の歓声、存在感は確立されています。中邑(真輔)さんもそうなのですが、人気者として確立され、知名度もすさまじい。当たり前ですが、自分はまだないなと素直に認めています。この『ないもの』を積み上げるために私には何があるか。それは(ロウ昇格後の)勢いとか、シチュエーションがある。それを爆発力に変えていきます。尊敬しているからこそ、アスカさんに追いつき、いつか追い越せるようにしていきたい」

22日のロウ大会ではWWE女子タッグ王座決定トーナメント準決勝でアスカ、ブリス組と対決。タッグ戦ながら注目の日本人対決でスカイがアスカからピンフォールを奪って決勝進出を決めていた。

「(日本人対決の意識は)ファンだけでなく、もちろん私もあります。世界一の舞台で世界中が見ているすごい団体で、日本人レスラー同士が戦う場面を世界中が熱狂して見ているというのは誇らしいです。アスカさんはその状況を築きあげ、私もはい上がってきた。日本人に限らず、ここまでのぼって来られずに団体に入ることができなかった選手、入ってものぼってこられずにWWEを去っていった選手を国籍問わずにたくさん見てきました。(生存競争が激しい団体で)日本人が戦うところを世界にみてもらえるのはうれしいです」

次回ロウ大会ではNXT時代、ライバル関係にあったラケル・ロドリゲス、アリーヤ組とのWWE女子タッグ王座決定トーナメント決勝が決まった。まず女子タッグ王座獲得が近い目標になるものの、将来的にかなえたい夢がスカイの胸に秘められている。

「なぜ、ここ(WWE)にいるのか。イヨ・スカイでいるのか、と言えば頂点に立ちたいからです。もともと世界で一番すごい選手だと世界中に知ってもらいたいという思いで海を渡りました。日本では女子プロレス大賞MVPなどいろいろな賞をもらい、もう脂のり切ってイケイケ、バリバリでした。それを投げうってここでやっていこうと思ったのはWWEで1番になるためです。いずれロウ、スマックダウンのどちらかの王座を獲得したい。その意識は常にあります」

(後編につづく)【取材・構成=藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆イヨ・スカイ(紫雷イオ) 1990年(平2)5月8日、神奈川・鎌倉市生まれ。器械体操などを経験し、07年3月にプロレスデビュー。姉美央とともに「紫雷姉妹」として活動し、10年にはアスカ(当時は華名)とユニットを結成して自主興行も開催。11年に姉妹コンビ解消し、同年8月にスターダムに初参戦。同団体でワールド・オブ・スターダム王座を皮切りに5大王座を獲得し、同団体初のグランドスラムを達成。3年連続女子プロレス大賞MVPを達成後、18年5月にスターダムを退団。同年6月にWWEへ加入し、同年10月に女子トーナメント、メイ・ヤング・クラシック準優勝。同6月にWWE加入を表明。20年6月、NXT女子王座を獲得。21年7月にNXT女子タッグ王座も奪取(パートナーはゾーイ・スターク)。156センチ、47キロ。

◆中継 WWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスルは日本時間9月4日午前にWWEネットワークでライブ配信

スマックダウン1200回記念大会をチケット購入で視察したイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
スマックダウン1200回記念大会をチケット購入で視察したイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
8月からロウを主戦場にファイトしているWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
8月からロウを主戦場にファイトしているWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
9月3日の英スタジアム大会でアスカ(左上)組との日本人対決に臨むイヨ・スカイ(右中央)組(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
9月3日の英スタジアム大会でアスカ(左上)組との日本人対決に臨むイヨ・スカイ(右中央)組(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.