12年ロンドン五輪バンタム級銅メダリストの清水聡(30=大橋)が、プロ2戦目も豪快なKO勝ちを果たした。フィリピン12位で1度もダウン経験がないカルロ・デメシーリョを、連打から最後は右フックで仕留めた。同じロンドン五輪で金メダル村田諒太とのプロ初共演の舞台で、盟友にいいバトンを渡した。

 涼しい顔で、清水は強烈なパンチを打ち続けた。食らい続けるデメシーリョの顔を苦痛にゆがめていく。最後、右フックがカウンター気味にあごの先端を捉えた瞬間、勝負は決した。脳振とうで立てない相手。3回1分9秒、10カウントでのKO勝ちに「長いラウンドをしたかったけど、ちょっと気持ちが入っちゃいましたね」。強さを際立たせたプロ2戦目だった。

 9月のデビュー戦は5回TKO勝ちだった。だが、調整時間が少なく、納得できる内容ではなかった。あれから約4カ月。今度は「がっつり練習できた」。元WBC世界フライ級王者内藤大助を育てた野木トレーナーの名物「階段ダッシュ」にも励んだことで「足腰がしっかりして、格段に良くなった。1発ももらっていない。相手には50、60発は当たっているんじゃないですか」と自画自賛した。

 プロ2戦目だが、その能力の高さはスマホゲームにも表れる。戦術と軍隊を駆使して戦う「クラッシュ・オブ・クラン」を得意とし、スポーツ選手内でのランクは、2位のレスリング吉田沙保里を圧倒する1位。そのこつは「動体視力です。目は良いんですよ」。

 狙い通りの圧勝で、思い通りの重圧を次に届けられた。それは、ロンドン五輪を一緒に戦った村田へのエール。「僕がいつも先に試合をして、僕が勝つと、あいつはすごいプレッシャーを感じる。今控室で『あっ、やばっ』と思っているはず」と笑わせ、同時に「村田と一緒に世界チャンピオンになれれば」とも言った。その盟友も同じ3回で決めた。思い出深いプロ初共演になった。【今村健人】