偉業は予習済み!? ボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が12度目の防衛の成功から一夜明けた3日、都内のジムで会見した。次は日本の具志堅用高が持つ世界王者の連続防衛記録「13」に挑むが、3年前に石垣島にある具志堅氏の記念館を訪れていたと明かした。その偉大さを理解するからこそ、「自分も危機感がある相手を選んでほしい」とV13の大一番に強敵を望んだ。

 大記録への予見が足を運ばせたのか。山中は3年前に偉大な具志堅ワールドに足を踏み入れていた。「プライベートで石垣島に旅行に行って。お姉さんが受付にいらして、すぐに具志堅さんに電話してくれて」。数々のトロフィーが飾られ、名勝負の数々もモニターで放送される館内。そこには「V13」と記されたグローブもあった。

 当時も世界王者だったが、自ら名乗り出ると歓待を受けた。「次行っても、知られてないから、分からないでしょうね」と謙遜したが、すでに偉業の数々は肌で感じ済み。今月には沙也乃夫人の故郷でもある沖縄に渡る予定だが、2度目の訪問はせずとも、十分にそのすごさは分かる。

 だからこそ、そこに到達するには、生半可な相手では満足できない。「自分にも危機感ある相手を選んでもらえたら」と求める。名前を挙げたのは、同級2位ネリー。22戦全勝(16KO)のメキシカンに「危ないんじゃないかと言われてますが、戦ってみたい」と迎撃意欲十分。帝拳ジムの本田会長は他にも元スーパー王者を候補に挙げ、さらに元WBAスーパー王者パヤノ(ドミニカ共和国)、パヤノに勝った前同王者ウォーレン(米国)も強敵に該当する。

 前日のV12戦ではカールソンを5度も倒したが「1度のダウンでフィニッシュがベスト。タイミング、ヒットポイントも、本当にベストではなかったのかな」。むしろ反省材料と解釈し「厳しい相手とやることで自分も成長できる」とも話した。飽くなき向上心。「しっかりKOできずに悔しい思いがある。まだそういう限り成長できるのかな」。その確信が、偉大な先人に近づける。【阿部健吾】