偉業への舞台は整った。ボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦(5月20日、有明コロシアム)の前日計量が19日に都内のホテルで行われ、ロンドン五輪金メダリストで同級2位村田諒太(31=帝拳)、元WBO世界王者で同級1位アッサン・エンダム(33=フランス)ともに、リミットを200グラム下回る72・3キロでパスした。

 「もちろん、ホッとしてます」。計量後にトマトスープとスッポンスープを口にした村田は、「(計量は)最低限越さないといけない壁。ボクサーの仕事ですから。エンダムも体を作ってきてくれてうれしいですね。あらためて、良い試合になるんだろうな」とさわやかに言った。

 17日の予備検診、18日の調印式と変わらぬ落ち着いた物腰に、重圧の影は見えない。「良い状態だと思いますよ。僕は結構びびりで、試合の時になると開き直って『さあ、いこう』というタイプなんですが、いまこんなに落ち着いていて大丈夫かな」と冗談を飛ばす姿が、一層の落ち着きを強調した。

 顔にはヒゲが目立つが、「このままいきます。ちょっとでも守ってくれそうじゃないですか」。ここ数試合は同じような風貌でリングに上がっており、「奈良のおばあちゃんからは『汚い顔で出て』と言われるんですけどね」と破顔した。