Aブロックで内藤哲也(35)が、2年ぶり出場の飯伏幸太(34)を激闘の末に破った。4年ぶり2度目の優勝を勝ち取って東京ドーム大会のメインイベンターの座を奪うべく、好スタートを切った。今年が最後のG1となる永田裕志(49)は黒星発進となった。

 場内の飯伏コールを内藤コールがかき消す。ファンの人気の差を証明するように、内藤が飯伏を粉砕した。天才といわれる2人が交錯した大激戦。コーナー最上段からのパイルドライバーなど危険な技もはね返し、最後は後方宙返り式リバースDDTのデスティーノ2連発で試合を決めた。

 「初戦に勝ったからって何? 飯伏に勝った、だから何だよ。オレはG1に優勝したくてエントリーしているんだ。飯伏に勝ちたいからじゃない」。試合後、内藤は2年ぶりに新日本に復帰した飯伏を皮肉るようなコメントをした。新日本でブレークした飯伏を追いかけるように16年に大ブレーク。飯伏が新日本を退団した後に現在の地位を築いただけに心情は複雑だ。だからこそ開幕戦で勝つ意味は大きかったが、あえて飯伏を無視した。

 6月に9カ月間保持したIWGPインターコンチネンタル王座を棚橋に奪われて無冠となった。今、ベルト以上に目標としているのは東京ドーム大会のメインイベントで試合をすることだ。13年にはG1を初制覇し、その権利をつかんだが、メインは、内藤がオカダに挑戦したIWGPヘビー級選手権ではなく、ファン投票で決まった中邑-棚橋に奪われた。「G1はオレにとって最大の踏み台。東京ドームのメインに立つために、G1優勝しかない」と言う。

 試合後、激闘の余韻の残るリングで内藤は、ファンと一緒にユニット名の「ロスインゴベルナブレス・デ・ハポン」と叫んだ。それは、4年ぶりG1制覇へのときの声に聞こえた。【桝田朗】

 ◆G1クライマックス 91年に始まった新日本プロレスのシングルのリーグ戦。今年は20選手が2つのブロックに分かれてリーグ戦を行い、各組1位同士が8月13日に東京・両国国技館で優勝決定戦を行う。リーグ戦は勝ち点制。勝ちは2点、負けと無効試合は0点、引き分けは1点