ボクシング元世界3階級制覇王者の亀田興毅氏(31)が、1試合限定で現役復帰するため、日本ボクシングコミッション(JBC)にライセンスを再申請することが12日、分かった。

 亀田氏は、自らのプロボクサーのキャリアを終わらせる先に、現役と次世代のボクサーの環境整備があると繰り返し力説した。主な一問一答は、以下の通り

 -キャリアを終わらせるのは次世代のため?

 亀田氏 そうじゃないと、下の選手につながらない。終わったボクサーが、ちょっとこないして復帰するというだけで、皆さん、騒ぐんですか、他に騒ぐボクサーいてるでしょ? と。現在、現役で井上尚弥、村田諒太…いっぱいいてる。みんな、頑張ってやってるんやから、もっともっと注目したって、それぞれを、それなりの地位にもっていってあげて欲しい。そうすることによって、ボクシングの地位が、もっともっと向上され、ボクシングをやりたい選手がもっと増えてきて、底辺拡大につながっていく。いつまでも終わった選手のことを注目しているの? 引退したにも関わらず…だから、俺は自分で亀田興毅を終わらせる。俺はボクサーではない普通の一人間…亀田興毅として生きていく。次につなげていくようにしたいんですよ、ただ単に。新しいボクシングを作っていかないと。

 -具体的に

 亀田氏 もっと、下からちゃんと伝えていきたいですね。4回戦の子らが活躍出来る場を作りたい。4回戦の試合、面白いじゃないですか? 4回戦の子も世界戦もリングに上がる気持ちは一緒やから。元旦に(協栄ジム主催で)TFC(東京ファイトクラブ)第1回の興行をやった。メインはユーチューバーのジョー、セミファイナルの京之介は、俺のいとこで、どちらも4回戦ですよ。あと女子ボクサーが2人で、下まで4回戦のボクサー…。普通に考えたら、こんなんで興行するの、アホちゃう? という話が結果、大成功した。4回戦の子を追いかける興行をやって、下から作っていかないと。そこに、たまに面白い、色ものを入れたりして一般も集客するような。

 -昔は素人をプロボクサーになるまで鍛えるTBSの番組企画「ガチンコ・ファイトクラブ」や、亀田家をTBSが追う企画も人気だったが最近、テレビの全国ネットでは、大きな世界戦しか放送されない

 亀田氏 別に今(テレビ局にとって)世界戦は、おいしくないですけどね。放送することが、逆に損するんちゃうかな? という状況ですけどね。きついですよ。ちゃんと、これから、もっといいボクシング業界にしていくためにも、自分が体を張って戦って、自分の試合だけじゃなくアンダーカードも全部、ちゃんと放送される形にしないと、やる意味がない。実際、元日にAbemaTVで放送した「亀田大毅に勝ったら1000万円」の時も「AbemaTV新春ボクシング祭り! 亀田一家人生を賭けた3大勝負」と題し、TFCのジョーや京之介らの4回戦から放送したじゃないですか。また、ここに上がりたい、やりたいって子がいっぱい出てくる形を作っていかないと、ボクシング業界は変わらない。

 -底辺拡大という部分ではキッズボクシングの普及が進められ、ボクシングの国内戦のインターネット配信など新たな動きもあるが

 亀田氏 足りていたら、こんな状況になっていないですよね。あとは、誰がやるかじゃないですか? 適当な思い付きでやるんじゃなくて、しっかり計画して5~10年、みんなチームの力を合わせてやっていかないと無理。

 -引退試合の先の具体的なビジョンは

 亀田氏 こういう興行を、次に続けていけるように。この1回で終わるんじゃなく、2、3、4、5回って、ずっと続けていかないと。

 -和毅の世界戦は?

 亀田氏 例えば、TFCの第3回を和毅の世界戦にしてもいいじゃないですか? 毎回、何でもやりようがありますよね。毎回、いろいろなものを入れていったらいいと思う。

 亀田氏は、次世代に向けた、新たなボクシング興行のシステム作りに、強い意欲を見せた。【村上幸将】