元世界王者八重樫東(35=大橋)が連続TKO勝利で、国内男子初の4階級制覇に王手をかけた。

 2度世界戦経験のある向井寛史(32=六島)と5年ぶりのベテラン日本人対決に挑んだ。初回から積極的に攻め、レフェリーストップによる7回2分55秒TKO勝ちした。再起後は2階級上げて連勝に大橋秀行会長も4階級制覇挑戦へゴーサインを出した。

 八重樫は珍しく初回から積極的に前へ出ていった。2回からは「大橋会長から教えられた。体格でも勝負できるすべ」と、過去にも見せたなりふりかまわぬ韓国流接近戦に出た。左フックや左ボディー、頭をつけあっても押し負けなかった。

 6回に右ストレートを浴びて、一瞬棒立ちとなった。八重樫は「疲れたから。効いてない」と言ったが、大橋会長は「一瞬タオルも手にした。そうしたらドカンと来た」。八重樫が右ストレートを打ち込んで逆襲。連打でダウン寸前まで追い込んだ。「メンタルが弱っていると感じた。やり返そう」と、7回にさらに連打を浴びせて試合を終わらせた。

 毎試合が進退をかけた戦いだが、前日の同会場での世界戦を越える観衆から大声援を受けた。八重樫は「つくづくボクシングができる喜びを感じている。最高だった」と笑みがこぼれた。

 大橋会長は「次は世界をやらせる。機は熟した」と言い切った。ミニマム、フライ、ライトフライ級に続き、次は4階級制覇をかけた一戦だ。八重樫は「王者はみんな強いが、誰でもいい。自信はないが、自信をつけてからでは遅い」と偉業に挑む。