同級9位井上拓真(22=大橋)が世界挑戦切符をつかんだ。東洋太平洋同級王者の同級3位マーク・ジョン・ヤップ(29=六島)との一戦。序盤はほぼ互角の戦いから、5回に右ストレートでダウンを奪った。6回にも右アッパーでロープまで飛ばし、3-0の判定勝ちを収めた。

5回にヤップの左フックと相打ちで、右ストレートを打ち込んだ。ヤップはロープまで吹っ飛び、立ち直った。ヤップはスリップをアピールも、レフェリーはダウンと判定した。6回には頭を下げて出てくるところへ、右をアッパー気味に繰り出す。再びヤップをロープまで下がらせた。

最終12回はヤップが最後の反撃に来たが、井上は下がることなく打ち合った。採点はジャッジ1人が1点差も、後2人は5、7ポイントと差がついた。「やっと終わって、勝ってホッとした」と胸をなで下ろした。

ヤップは国内のバンタム級トップ選手を次々と撃破し、10連勝中だった。「一番の強敵で不安もあったが、世界の切符がとれてよかった」と笑み。WBCの緑のベルトにちなみ、髪にグリーンのラインを入れた。「世界挑戦は全部緑にしようかと思うけど、キモイかな」と笑わせた。

現在WBO王座は3月にネリ(メキシコ)が計量失格で剥奪後は空位が続いている。1位ウーバーリ(フランス)と4位ウォーレン(米国)の王座決定戦が予定され、勝者は2位ペッチ(タイ)と対戦が義務付けられている。井上はこの勝者に挑戦する。

16年12月に1度は世界挑戦が決まったが、右拳を痛めて中止となった。WBA同級王者の兄尚弥(25=大橋)はすでに3階級制覇。後れを取ったが「必ず一発で仕留めたい。小さいころの夢をかなえる」とリング上から宣言した。