ボクシング世界戦のドーピング違反によるプロライセンス停止処分が解除された前日本スーパーフェザー級王者尾川堅一(31=帝拳)が2日、東京・後楽園ホールでフィリピン・ライト級王者ロルダン・アルデア(24)と59・8キロ契約体重10回戦に臨む。31歳の誕生日を迎えた1日、都内の日本ボクシングコミッションで前日計量に臨み、リミットでクリア。アルデアは59・5キロでパスした。

禁止薬物の陽性反応が出た17年12月の世界戦(IBF世界同級王座決定戦)以来、約1年2カ月ぶりとなる復帰戦。自身の31歳、三男の皇(おう)くんの3歳の誕生日翌日に設定されたカムバックの機会で「息子3人がそろって後楽園ホールに来るのは初めて。『パパはすごいよ』というところをみせたいですね」と声をはずませた。

ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応を示し、無効試合となり、日本ボクシングコミッションから1年間のライセンス停止処分を科された。ジムワークは6月から許され、本格的なトレーニングを再開。試合を控えるジムメートのスパーリングパートナーを務めながら実戦感覚をキープしてきた。「(昨年)4~5月ぐらいが苦しかった。7、8割は完全に辞めるつもりだった。1度は心が折れた」と振り返る。再起への気持ちが芽生えたのは家族の支え。長男豹(ひょう)くん(5)、次男亜陸(あり)くん(4)らが「パパ、ベルトが欲しいよ」とお願いされ続けたという。

「うちの玄関にベルトを飾ってあったので。今はない。だから(世界)ベルトを取り戻したい」と口調を強めた。これまで通り、KOへのこだわりを持ってリングに上がる。

「尾川とKOはセット。そういう気持ちでいきたい。久びさの試合で緊張している。これが尾川のボクシングというのをみせたい」。

“幻”となった世界王座を必ずつかみ取るため、尾川が再起のリングに立つ。