プロレス団体、DDTが選手によるオンラインパーソナルトレーニングサービスを8日からスタートさせた。

テレビ会議システム「Zoom」を使い、受講者のレベルに合ったトレーニングを教える内容で、1コマ1アカウントで60分8000円(税込)。1人でも複数人でも受講可能。同画面での受講なら同額で、別アカウントが一つ増えるごとにプラス3000円となる。体作りのスペシャリストともいえるプロレスラーの指導とはどういうものなのか、自宅テレワークで運動不足になりつつある記者が体験してみた。

教師役はDDTの若きエース竹下幸之介(24)。最初は丁寧なカウンセリングから始まった。

竹下(以下、竹) 普段どんな運動をしているか、教えてください。

記者(以下、記) 家でほぼ毎日筋トレはしていて、たまに外で走るぐらいです。

竹 体で痛いところはありますか。あるいは、改善したい部分はありますか。

記 特に痛いところはありませんが、おなか回りを引き締めたいです。

そんな運動初心者の私に「代謝を上げるため」と竹下が最初に出したメニューはスクワット。なーんだ、このぐらいいつもやってますよ、と心の中で思ったのが間違いだった。

竹 まず、肩幅に足を開いて、つま先をそろえる。そのまま腰を落としていきます。深さは膝の部分が90度よりやや鋭角になるぐらい。手は拝んでいるような形で胸につける。目線は前を向いたまま。

彼の見本を見た後に、1回フォームを確認してもらう。3秒かけて腰を落とし、3秒かけて元に戻す。

記 うっ、痛い…。うぅ。

簡単な動作だが、太ももの裏、お尻、またおなかにも効く。自分が普段いかに適当なスクワットをやっていたかを思い知らされた。そこからカウントしてもらいながら、ゆっくり10回。額が汗ばんだ。この代謝を上げるためのスクワットは、軽いランニング、あるいは38度ぐらいの湯船で入浴した後に行うのも効果的だと教えてくれた。

次に課されたのは、腹筋を引き締めるためのひねり運動。

竹 腹筋で想像するのはこういう運動(あおむけで膝を立てた状態から起き上がる動作をやってみせる)だと思うんですが、これは足の太ももの付け根をつかって引き上げてしまいがちです。前後、横の動きより、回旋、ひねりが腹筋の脂肪を燃焼させるのには手っ取り早いんです。普通の腹筋で起きあがった状態からスタートし、そこから伸ばした腕を左右にねじります。時計でいうと10時から(午後)2時ぐらいまで。

見本を見せてもらった後、画面越しにチェックしてもらいながら、10回行った。

竹 いいですね。どうですか?

記 きついです、これも。

竹 これを2日に1回のペースで続けると慣れて、回数を増やそうと思うはずです。そうすると時間がかかる。それが、やめちゃう原因ナンバーワンなんです。慣れてきた場合は、足を浮かせてみたり、例えば500ミリリットルのペットボトルを持ってみたり、負荷をあげていくことをおすすめします。

今回はお試しなので動いたのは2つの動作合わせ20分ほどだったが、それでも体が熱くなった。竹下は日体大卒。筋トレに特化した部活を作り、授業でもトレーニング学を学んでいただけあって、教え方も非常にうまかった。竹下いわく、通常のパーソナルトレーニングと違うのは、プロレストレーニングであり、「頑丈な体」を目指すところだという。

竹 頑丈な体は健康な体。人は骨盤や背骨がゆがんでいることが多い。ゆがみは健康にも精神状態にも関わってくる。ぼくも首を痛めた時は気持ちが落ちる。こういう時期だからこそ、体を整えて、頑丈な体を作ってほしい。プロレス技も必要とあらば教えます。運動しているけど筋肉がつかない、やせないという人は原因がある。それを探るお手伝いもできたらと思います。運動経験ゼロの方から中、中、上級者の方までその人にあったトレーニングを用意できます。ぼくは筋肉大好きで、トレーニングおたく。この機会に自分の体に向き合う時間を作っていただきたいです。

DDTは6月23日までの興行中止を決定。その代わり、自社配信サービスDDTUNIVERSEなどを通じ、テレビマッチやさまざまなコンテンツを配信し続けている。このオンライン家庭教師サービスも、今できることを探すうちに生まれた企画だ。

竹 コロナの期間、いま1番つらいのは終わりが見えないこと。それに対して不満を持つのではなく、ルールの中で全力を尽くすしかない。ぼくたちは試合を見せるという本来やるべきことができないけど、違った形でみなさんに元気を与えることができればいいなと思っています。このレッスンもその1つ。みなさんを教えながらぼくもトレーニングできてるんですよ。お客さんの前で試合できるようになる時には、たぶんムキムキになってますよ。

正しいトレーニングを学ぶことが、選手の練習にもなるというすてきな口説き文句でレッスンは終わった。

講師は竹下のほか、遠藤哲也、高尾蒼馬、勝俣瞬馬、大石真翔の計5人。専用サイト(https://reserva.be/ddt_lesson)から申し込みできる。【高場泉穂】