プロボクシングのミニマム級で世界主要4団体を制し、アマチュアで目指した東京五輪出場はならず、プロに再転向した高山勝成(36=寝屋川石田)が11日、本来なら“定年”となる12日の37歳の誕生日を前に電話取材で心境を語った。

東京五輪の夢はかなわず、プロに再転向した高山は3月17日にプロライセンスを再取得。5月10日に復帰戦も組まれたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。

プロで国内での最後の試合から3年以上が経過しており、元王者らへの定年延長の特例措置には37歳の誕生日までに試合をしなければならなかった。陣営は“定年”延長の嘆願書を提出し、日本ボクシングコミッション(JBC)も状況を鑑みて認める方針とした。

高山は「14歳からボクシングを始めて、いろいろなことがあったが、あっという間の37歳。人生はそう長くないと、あらためて実感しています」。名古屋産業大に通う大学生でもあり、生活の拠点は愛知県にある。本年度で卒業見込みで、授業再開の準備をしながら、まだ具体的に決まっていない試合に向けてトレーニングを続けているという。

「年齢の壁を超えてもやれることを証明したいとか、そういう思いはあまりない。ただ自分が成し遂げたい。あと1、2年と思っているので、たどり着けるところまでやっていきたい」。この日、11日はヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの36歳の誕生日だった。「知らなかった。1個下なんですね」と笑いながらも、「同じ世代なんで、この年まで第一線でやれているすごみを感じる。日々のトレーニング、栄養の取り方が試される年代ですから」。

大きな節目の誕生日も普通に過ごす。ただ「37歳になってもボクシングができること。これが自分にとって最高の誕生日プレゼントです」と言った。【実藤健一】