挑戦者の同級1位古橋岳也(33=川崎新田)が逆転勝ちで新王者となった。

同級王者久我勇作(30=ワタナベ)に挑み、9回24秒、TKO勝利で、初めて王座奪取に成功した。8回終了時、採点で最大4ポイント差の劣勢だったが、9回に連打からの右拳でふらつかせ、レフェリーストップ勝ちした。

3度目の王座挑戦の古橋には、地元川崎のJリーグクラブ川崎フロンターレのマスコット、ふろん太が応援団長に就任。今回も会場のバルコニーから応援サポートをもらっていた。サッカー、バスケットボールのプロスポーツを中心に盛り上がる川崎市。川崎生まれ、川崎育ち、川崎ジム所属として初めてのボクシング王者誕生を期待されていただけに「ふろん太くんの応援が力になりました。少しは(20年Jリーグ優勝の)川崎フロンターレに近づけたかな」と安堵(あんど)の笑み。川崎フロンターレのサポーターでもある古橋は、激闘による傷だらけの顔でふろん太を見つめた。

好戦的な久我から何度も連打を浴びながらも最後まで倒れなかった。「鼓膜も破れたし、心が折れそうなパンチがあった」という状況は、2年ほど前から続けてきたメンタルトレーニングで打開できたという。コロナ禍でも毎週、メンタルコーチとオンラインで続けてきた精神面の鍛錬は「本当に今回のキーポイントになった。メンタルトレの成果だと思います。自分のやるべきことに集中し、9回のKOができたと思う」と振り返った。

約4年4カ月ぶり、3度目の日本王座挑戦でベルトに到達した。古橋は「日本のナンバーワン野郎になれました。なんで泣いているんだろう」と両目から流れてくる涙をぬぐった。また会見に同席したふろん太は「一緒にチャンピオンになれてうれしい」と喜んでいた。