米プロレスWWEのNXT女子王者紫雷イオ(30)が7日(日本時間8日)、PPV大会テイクオーバー第1日のメインイベントで、ラケル・ゴンザレス(30=米国)との防衛戦に臨む。WWE年間最大の祭典レッスルマニア37大会(10、11日・米タンパ)を控える「レッスルマニアウイーク」に開催されるPPV大会もNXTにとって大きなイベント。今年3月にプロデビュー15年目に入った紫雷が日刊スポーツのインタビューに応じ、注目の防衛戦に向けて意気込みを示した。その後半となる。【取材・構成=藤中栄二】

16歳だった07年3月4日にプロデビューし、今年でレスラー生活15年目に突入した。スターダムで活躍した上でWWEに加入。NXT女子王座も戴冠し、着実に夢を実現している。

「20歳前に漠然とWWEを見た時、いつか米国で試合したいと思っていました。ただ20歳を過ぎ、スターダムに入って、団体を背負う責任感がありました。年齢を含めて大人になる時にそれは難しいというか、遠のいていたかなと。私は日本で背負っているものがあると思って、1度、自分の頭からそのビジョンはかき消しました。ただ深層心理に多分あった中、(WWE加入の)チャンスが巡ってきた。だから想定と半々ですかね。ふと思い返すと、自分がやろうと思っていたり、若い頃に思い描いてビジョンは、大体全部やっているなという感じです」

リング外の夢の実現も紫雷の頭にある。それは意外にも東京タワー付近のマンションに住むことだという。

「思い描いた夢で、やっていないことあるかなと思ったのが、東京タワーが目の前に見える1室に住むということです。東京タワーが好きという謎の私の趣味なんですが。やっぱり都会といえば東京タワー。東京タワーがめちゃめちゃキレイに夜景で見えるマンションの1室を手に入れること。この謎の野望があります(笑い)」

紫雷のアメリカンドリーム実現の前に立ちはだかるのが、身長183センチ、体重80キロという大きな挑戦者ゴンザレスとなる。身長差27センチ、体重差33キロと体格で大きく劣る。パワー差は歴然となる。

「日本人とは全然筋力が違います。見た目では分からないかもしれないですが、思っているよりも何倍も人種のパワーが強いんです。でも私も(元WWEヘビー級王者)レイ・ミステリオJr.を見てワクワクしたように、小さい選手が大きい選手を倒すことは勇気を与えられるマッチアップだと思う。それが今回、分かりやすく出ているカード。みなさんが内容と結果でワクワクするような試合を、と意気込んでいます」

ゴンザレスとの因縁は深い。昨年12月のNXTテイクオーバー大会で開催された女子ウォーゲームズ(2つのリングで争われるチーム戦)では、王者の立場ながらゴンザレスにパワーボムを浴びてフォール負けを喫している。PPV大会直前のNXT大会では、ゴンザレスとの乱闘の中で3度も背中を大ダメージを負っている。

「最後(の前哨戦)だけで3回やられました。箱にぶち込まれ、バリケード(防護壁)に投げられ、最後は壁をぶち抜かれるほど飛ばされました。後できちんと仕返しはしましたが、今も背中はヤバイです。その前週は解説テーブルにたたきつけられています。昨年12月もラダーが真っ二つになるほどに投げつけられてフォールされました。1カ月ぐらいずっと痛かったですが、どんなにやられても私は負けないです」

完全なるヒールとして暴れ続けるゴンザレスに対し、紫雷は王者に君臨するうちに黒の「ヒロイン」として地位を確立しつつある。ゴンザレスは自ら指名した挑戦者でもある。

「次に対戦するラケルは完全なヒールなので、私はベビーフェースの立場で王者として迎え撃つ形になります。今の自分は『ダークベビー』みたいな感じですね。レッスルマニアへと続くテイクオーバー大会は、とても注目が高いイベントです。文字通り、山のように大きい対戦相手で、私のチャンピオンロードの中でもヤマ場だなと。王座戴冠1年の実現に向け、試合結果も含めてハッピーな情報を届けられるように。日の丸を背負って山を登ってきます」

(終わり)

◆紫雷(しらい)イオ 1990年(平2)5月8日、神奈川・鎌倉市出身。16歳だった07年3月4日、姉美央とともにプロデビュー。姉とともに「紫雷姉妹」として活動し、10年にメキシコ修業。11年8月にスターダムへ初参戦。15年にはスターダムの5大王座を制覇。18年にスターダムを退団し、WWEに正式加入。同年8月のWWE女子トーナメント「メイ・ヤング・クラシック」で準優勝。19年6月、NXT女子初の金網戦で王者シェイナ・ベイズラーに敗れ、ヒール転向。20年6月にシャーロット・フレアー、リア・リプリーとの3WAY形式NXT女子王座戦で勝利し、WWE王座初戴冠。156センチ、47キロ。血液型はA。

紫雷イオ・インタビュー「前編」はこちら>>