レジェンドが帰ってくるまで俺がリングを守る。6人タッグに出場した越中詩郎(62)が得意技のヒップアタックで勝利に導いた。

6人の中で1番躍動したのは越中だった。先発を買って出た越中は、進との序盤戦で流れを作ると、その後はリング内外で暴れ回った。場外に連れ出した拳剛を客席の上に投げ飛ばし、殴りつけた。襲いかかってきた那須もそのまま場外でKO。さらにコーナートップからのダイビングヒップアタックを豪快に決めるなど、62歳とは思えない軽やかな動きで相手3人を翻弄(ほんろう)。自身はほとんどダメージを受けることなく、そのまま勝利につなげた。

レジェンドの復帰を願い、リング上で思いを伝えた。勝利後、笑顔でバックステージに現れた越中は「天龍さんが1日も早く元気な姿を見せてくれることを願う。それまでは我々が熱い試合をやっていきたい」と胸の内を明かした。今月3日には、天龍、藤波らが中心となって立ち上げた日本プロレス殿堂会の1周年イベントに参加。同時代を切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間と語り合い、病床の天龍にもエールを送った。

越中のパフォーマンスに敗れた相手も脱帽。那須は「何の必殺技も出せなかった。正直あそこまで畳み掛けられたら無理。相手したくない」と話せば、進も「パワフルなベテランに完敗」と白旗を揚げた。

この日解説を務めたザ・グレート・カブキらとユニット「平成維震軍」を引っ張り、リングに立ち続ける。「当時はまさか長く続くなんて思ったことはなかった。自然体でやっているのが良かったのかも」。謙遜しながらもリングへ上がりたい思いは強い。無観客での開催となったが「お客さんがいないのが残念だが、カメラの向こうで応援してくれたら。今日の勝利でまた勢いがついた」。天龍に元気を与えるプロレスを見せるため、62歳越中はまだまだ成長を続ける。【松熊洋介】