挑戦者の同級11位・高山勝成(37=寝屋川石田)が王者エルウィン・ソト(24=メキシコ)に9回TKOで敗れ、2階級制覇はならなかった。

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<大橋秀行氏の目>

判定までもつれたら分からない展開になりつつあっただけに、高山にとっては残念な結果だった。課題だった1回の動きは、やはり良くなく、少し腰が落ちてしまうほどの右ストレートを浴びてしまった。普通なら、あれで試合が終わってもおかしくないパンチだったが、2回以降に持ち前の連打で挽回していた。ソトの拳は的確かつ強く、有効打も多かったが、高山は粘りと気合で持ちこたえ、打ち返した。短期間での準備だったと思うが、持ち味は十分に出した内容。米国で大和魂をみせてくれた。

手数で上回っていただけに、高山が中盤から終盤にかけてポイントを奪い返すチャンスはあった。レフェリーストップが少し早かったとも感じるが、7、8回のソトの左強打や連打が効かされているようにみえたことが影響したのだろう。さらに9回は王者の軽いパンチ、強いパンチを自由自在に打たれ、レフェリーストップになりやすい展開を作られてしまったことも大きい。準備期間が十分にあったソト陣営に高山の戦いは研究し尽くされていたのではないだろうか。

またソトの一発-高山の連打という構図の試合展開で、軽量級ながらも米ボクシングの屋内観客数を更新する7万人を超える観衆をわかせていたのも非常に印象的だった。大舞台でも冷静で戦っていた高山の経験の豊富さを感じられた1戦でもあった。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)