AEWのリングで行われたIWGP USヘビー級選手権で、挑戦者の永田裕志(53)が、王者ジョン・モクスリーに敗れた。

モクスリーは4度目の防衛。勝利すれば、新日本プロレスでのシングル最年長タイトルだったが、快挙達成とはならなかった。

米国の地で躍動した永田だったが、最後に力尽きた。前日ロサンゼルスからフロリダへの移動は3時間遅れ。長旅にも疲れを見せず、SNSでは「全力を尽くして、永田裕志最年長53歳。今日も頑張ります」と気合十分で臨んだ。鮮やかな青のガウンで登場し、お決まりの敬礼ポーズをすると会場は大歓声に包まれた。

序盤から激しくぶつかり合い、エルボー合戦を繰り広げた。中盤には得意技のエクスプロイダー、さらには白目式腕固めで王者を追い詰めたが、最後はパラダイムシフトで3カウントを奪われた。

試合後は感極まったのか、モクスリーがナガタの前にひざまずいておじぎをすると、永田もこれに応え、お互いに健闘をたたえ合った。

4月上旬にモクスリーから挑戦者に指名された。「リボルバーを見せてみろ。どっちが先に撃てるか試してみようぜ」と挑発を受けた。永田は「だからお前はハナタレ小僧なんだよ。プロレスのリングにリボルバーなんてのは必要ない。裸1つで戦うのがプロレス。顔洗って出直してこい」と受けて立った。

8日配信の前哨戦ではモクスリーに強烈な一撃を見舞った。試合には敗れたが、怒りが収まらず、試合後に襲撃。止めに入ったセコンドを制し、歯が取れるほど強烈なナガタロック2を浴びせた。「この永田裕志がコロナ禍の中、アメリカまで来てやったぞ。こんなんで俺は満足しない。まだまだ物足りない」と挑発するなど、本番に向けて士気を高めていったが、あと1歩及ばなかった。

新日本の最年長シングル王者はお預けとなった。02年にIWGPヘビー級王座を獲得。その後当時、橋本真也が持っていた連続防衛記録を塗り替える10回の防衛を果たし「ミスターIWGP」と呼ばれた。16年のNEVER無差別級以来、久しぶりのシングルのベルトを手にすることはできなかったが、53歳永田の挑戦はこれからも続いていく。