元世界5階級王者のノニト・ドネア(38=フィリピン)が、17戦無敗(12KO)王者ノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)に4回1分52秒、TKO勝ちし、王座返り咲きを果たした。戦績を41勝(27KO)6敗とし、同級では史上最年長王者になった。試合後、19年11月に判定負けしているWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者、井上尚弥(28=大橋)へのリベンジマッチを希望した。

    ◇    ◇    ◇

無敗王者を沈めた38歳のドネアが、リング上で井上尚弥とのリベンジマッチを要求した。「井上と再び戦いたい。今日の試合に勝ちたかったのは、井上ともう1度戦うためだ」。19年11月のWBSS決勝でダウンを奪われて判定負けした最強王者との再戦に意欲を見せた。

圧勝だった。2回まで手数が少なかったが、3回に自慢の左フックで2度のダウンを奪った。続く4回1分すぎに連打で王者をロープに詰めて、最後は左アッパーを突き上げて再びダウンを奪うと、レフェリーはカウントの途中で試合を止めた。バンタム級史上最年長の王者になったドネアは「相手の弱さが出た時に、たたみかけることができた。年齢は関係ない。私にはまだ成長する力がある」と笑顔を見せた。

この勝利で、前回、年間最高試合に選出された井上-ドネアのリマッチが統一戦で実現する可能性も出てきた。現時点では8月予定のWBO同級王者カシメロ(フィリピン)-WBA正規王者リゴンドー(キューバ)戦の勝者との統一戦も候補だが、ドネアはあくまで井上との再戦をターゲットに挙げた。

19年の井上戦以来1年半ぶりの復帰戦だったが、全盛期と変わらぬ強烈な左強打で健在ぶりを世界にアピールした。「健康を維持しているし、ケアをすればいつまでも強くいられる。誰もが認める王者になる」。宿敵との再戦が実現するまで成長を続ける決意だ。