ボクシング5階級制覇王者でWBC世界バンタム級王者ノニト・ドネア(38)が「井上は私と対戦した時よりもさらに成長している」とライバル王者の圧巻のKO勝利に警戒感を示した。19日に米ラスベガスで行われたIBF世界同級王者井上尚弥(28=大橋)の防衛戦をリングサイドで視察。井上が同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)を左ボディーブローで3回で仕留めた試合を見届けた後、中継テレビ局の取材に応じた。

ドネアは19年11月にバンタム級王者統一トーナメントのWBSS決勝で井上と対戦し、同じ左ボディーブローでダウンを奪われて判定負けした苦い経験がある。今年5月に王者ウバーリリ(フランス)に4回TKO勝ちして、WBC世界バンタム級王座に返り咲き、「井上と再び戦いたい。今日の試合に勝ちたかったの井上ともう1度戦うためだ」と、試合後のリング上で井上との再戦を熱望していた。

この日の試合前にドネアは8月14日(日本時間15日)に米カリフォルニア州カーソンでWBO世界同級王者ジョンリール・カシメロ(31=ともにフィリピン)と王座統一戦に臨むと公式SNSで発表した。当初、カシメロの相手はWBA正規王者ギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)だったが、ドネアがWBC王者となったことで急きょフィリピン人王者同士の対決に変更となったという。

ドネアがカシメロに勝てば、井上とのリマッチが一気に現実味を帯びてくる。「井上は自分のパンチをうまく当てることがしっかりできていた。彼を見て、自分ももっと強くならないといけないと思った。(井上が対戦したいと言っていた)ぜひやりたい。次に戦ったら100%自分が勝つ」と、ライバル王者のKO防衛に大いに刺激されたようだった。

◆前回の井上対ドネア戦VTR 19年11月7日、さいたまスーパーアリーナで行われたバンタム級の世界一を決めるWBSSトーナメント決勝で対戦。当時、井上がWBA正規、IBF王者で、ドネアはWBAスーパー王者だった。2回にドネアの右フックで井上が右目上をカットして流血。「二重に見える」視界にその後も井上は苦戦したが、11回に左ボディーブローでダウンを奪い、114-113、117-109、116-111で3-0の判定勝利を収めた。IBFやWBA、米主要メディアなどが19年の年間最高試合に選出した。

井上-ダスマリナス ラウンドVTRはこちら―>