昨年末の世界戦での日本ボクシングコミッション(JBC)のドーピング検査で違反の疑いをかけられたWBOスーパーフライ級王者の井岡一翔(32=Ambition)が25日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。

-ドーピング疑惑で次の試合を組むのに苦労があったか。また次の試合は国内か海外か

井岡 次の試合の詳細は具体的に言えない。試合のマッチメークへの影響はもちろんありました。心境の問題だったり、今の状況のまま実戦を迎えてよいのか、というのもあります。いま現在も。難しい部分はありました。

-JBCは謝罪を申し入れているという話もあるが、具体的には何を求めているのか

弁護士 謝罪を受けるか、内容をどうするか、協議中でお答えしかねる。謝罪だけしてこの問題は終わりとはしたくない。内容のともなった謝罪をしていただかないとこちらも受け入れることはできないということで協議を続けている。

-JBC側の意図的にこのような間違いをしたと思うか、単純なミスだと思うか

井岡 どちらも許せないが単純なミスなのかなと。結果と管理など。検体結果で警察に報告は悪意を感じる。

-JBCにどのような変革を求めているのか。安心して試合できないとなると現状のシステムでは国内で試合をやることはないということか。海外で次の試合を考えているのか

弁護士 私から答えます。ジムのほうから要望を出しています。JBCの体制を変えること、マスコミにリークされた原因を追及すること、あと一番の問題である不適切なドーピング検査態勢をしっかり整えること、きちんとした謝罪をすること、この4点を井岡本人というよりジムから協会を通じてJBCには求めています。求めている4つのうち3つについては動いているということになります。JBCの体制については、問題を起こした体制のもとではできないと伝えていますが、井岡本人やジムに体制を変えろという権利はなくて、JBCが組織としてどうするのかを自分たちで考えることで、みていきたい。

-JBCに対して賠償を求めることはあるのか

弁護士 金銭請求をしようと考えたことはありません。

-次に向けて、ネガティブなパワーをポジティブなエネルギーに変えることもできると思うが

井岡 それとこれは別の感覚。チャンピオンとしてボクシングをやらなければいけないし止まってはいけない。今回のことは忘れられる経験ではない。自分の中では許せない気持ちはあるが、ボクシングをやることは別。仕事でもありますので進んでいきます。

-次の試合をファンが期待していると思うが、きちんとした謝罪を受けるまでは国内で試合をやるつもりはないのか

井岡 試合自体は僕もやりたい気持ちがあるので。やると決まれば僕はやるだけ。試合までにそういう(国内で試合ができる)状況を作られたらと思う。最善を尽くしていくだけだと思う。

○井岡の騒動経緯

4月26日 昨年大みそかの防衛戦で採取した井岡の尿検体に大麻や違反薬物が検出されたと一部の週刊誌が報道

同27日 JBCが井岡の薬物に関して倫理委員会で調査、審議中と発表。井岡事務所は大麻使用や違法薬物の摂取を全面否定

5月1日 井岡と対戦した田中が所属する畑中ジムはJBCに質問状を送付したと発表。「井岡選手のドーピング問題に関してJBCに対して大変疑念を持っている」と質問状を内容証明書で送付

同15日 畑中ジムの畑中会長が会見。8日にJBC側から回答を受け取ったとし、内容は「すべて納得できないもの」と不満をあらわに

同19日 JBC永田理事長らが会見し、倫理委員会の審議、調査の答申を発表。検査体制の不備を踏まえ「違反はなかった」と結論。処分せず、検査体制や情報管理の不備も認め、井岡や田中に謝罪。井岡も会見し「潔白が証明できた。今の体制で続けていくのは怖い」と発言

同20日 JBC発表を受け、田中は「混乱を招いたことは非常に残念」、畑中会長も「JBCの関係者はしかるべき責任をとるべき」と声明発表。JBCは公式サイトで報道各社に向け、おわび文書を発表

同28日 JBCが公式サイトで2度目のおわび文書を掲載

同31日 井岡の所属先Ambitionジムが日本プロボクシング協会に上申書を提出。役員退任のほか検査結果など個人情報がマスコミに漏れた原因の追及、国際基準に準拠したドーピング規定の整備、井岡と、対戦した田中恒成(畑中)への謝罪と名誉回復措置を要望した。