史上初の3連覇を狙う飯伏幸太(39)が、Aブロック最終戦でKENTAに勝利し、勝ち点12で並んでいた4人の争いを制し、優勝に王手をかけた。

序盤で2敗の崖っぷちから5連勝で1位通過を決め、21日の優勝決定戦(東京・日本武道館)ではBブロックの1位と対戦する。7月に誤嚥(ごえん)性肺炎で約2カ月間欠場。今年の主役となるはずだった男が、偉業達成でどん底からの復活を成し遂げる。

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飯伏が常々口にする「逃げない、負けない、諦めない」の言葉通り、パイプ椅子で殴られても立ち上がり、花道の奥でボコボコにされてもリングに戻ってきた。最後に後ろから、前からとカミゴェをさく裂させてKO。試合前に引き分け以上での進出が決まっていたが、しっかり勝利で応えると、両手を突き上げた。「優勝するチャンスをつかむことができた」と喜びを爆発させた。

再起をかけた今大会、初戦で伏兵高橋にまさかの敗戦。いきなりつまずき、3戦目でもセイバーJr.の関節技にギブアップさせられ、序盤でまさかの2敗。それでも「楽しんだら、勝ちにつながる」と自らの言葉を信じ、白星を重ねた。

1月にIWGPヘビー級とインターコンチネンタル2冠王者となり、その後に統一された世界ヘビー級の初代王者となった。今年の主役となるべく調子を上げてきた7月、誤嚥(ごえん)性肺炎で離脱。すぐに復帰するはずが、予想以上に長引いた。25日の東京ドーム大会で挑戦予定だった世界ヘビー級王者・鷹木との試合も欠場し、急きょ棚橋に変更。復帰戦となった9月の大会では、その棚橋からUSヘビー級の挑戦者に指名された。わずか17分で敗れたが「リングに戻れたことがうれしくて」とチャンスを与えてもらったエースに感謝し、再起を誓った。

前人未到の3連覇へあと1勝。21日の優勝決定戦はBブロックのオカダとコブの勝者と対戦する。頂点に輝けば、鷹木への再挑戦への道も開ける。「限界突破したと思うけど、まだ終わっていない。3度目の優勝、必ず守るから」とファンに完全復活を誓った。【松熊洋介】