ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が元世界3階級制覇王者田中恒成(26=畑中)との緊張感あふれるスパーリングを展開した。4日、横浜市の所属ジムに田中を招き、4回のスパーリングに臨んだ。世界3階級王者同士が向き合ったリングはピリピリムード。1回は両者ともに様子を見ていたが、2回から井上が圧力をかけて徐々に接近戦の打ち合いとなった。井上がアッパーを使えば、3回には負けじと田中もスピードを生かして右を出した。

田中と初めて拳を交えた井上は「やる前からスピードは予想はしていたんですけど、自分が今までやった選手の中では1番速いと思います」と納得した表情をみせた上で「良い緊張感がもらえるようなスパーリングでした。お互い12月の試合が近いので。お互い良い時期にスパーリングができている。1ラウンド目はスピードの感覚とパワーの感覚をいつも通りインプットしながらやりました」と手応えも口にした。

12月14日、東京・両国国技館でIBF同級6位アラン・ディパエン(30=タイ)との防衛戦を控えている。特にアッパーには自信を深めており「次(の試合)あたりに出るんじゃないですか。(20年10月の)モロニー戦後ぐらいですかね、接近戦のアッパーはあの時期はすごく練習しました。(ディパエンには)スタイル的にはよく入るんじゃないですか」と充実の笑みを浮かべた。

5日も田中とのスパーリングを予定している。井上は「今日感じたものをプラスアルファ(してやりたい)ですね」と気合を入れ直していた。