王者中嶋勝彦(33)が、因縁の相手、マサ北宮(33)の挑戦を退け、4度目の防衛に成功した。

北宮は、健介オフィス時代から兄弟弟子として切磋琢磨(せっさたくま)した間柄だが、昨年5月に2度目の裏切りにあい、同6月に団体史上初の敗者髪切り金網デスマッチで敗れている。

この日も、何度蹴り上げても立ち上がってくるタフさを誇る難敵に、苦戦を強いられる展開。渾身(こんしん)のダイヤモンドボムでも決められず、いつもの不敵な笑みは失われていった。それでも、なりふり構わず攻撃。張り手の連打で意識を奪うと、28分40秒。最後は、とどめのヴァーティカルスパイク(垂直落下式ブレーンバスター)を突き刺し、3カウントを奪い取った。

試合後は野獣、藤田和之(51)がリングに登場。ベルトを上から下まで嘗め回すかのように見つめると、無言のままに退場した。これを王座への挑戦表明と受け取った中嶋は「このベルトが欲しいんだろ? やってやるよ」と快諾。いつでも、誰が相手でも、受けて立つ構えを示した。

ノアには俺がいる。出場予定の選手10人が新型コロナウイルスに感染、あるいは濃厚接触者にあたるため欠場という非常事態。中嶋は「今日、この仙台で大会が開催できたこと、みんなが来てくれたこと、素直にうれしいよ」と感謝。会場を見渡すといつもの決めせりふ「俺がノアだ」を「俺たちはノアだ」に言い換えて一丸を強調した。中嶋を先頭に、ノアの「方舟」は動き続ける。【勝部晃多】