プロボクシングのWBO世界ミニマム級タイトルマッチ（22日、東京・後楽園ホール）の前日計量が21日、横浜市内で行われた。

王者谷口将隆（28＝ワタナベ）はリミットの47・6キロでクリア。挑戦者の同級5位石沢開（25＝M．T）は50・1キロと大幅オーバーで、2時間の猶予で再計量となり、2回目は49・9キロだった。 当日の22日午後5時30分に、プラス3キロリミットで再計量となった。

　　　　◇　　　　◇　　　　◇

ボクサーら体重制限のある競技でスタンダードになっている「水抜き」と言われる減量方法で、石沢が失敗した。実家にいながら自炊し、人一倍、ウエート調整には気を使う挑戦者だったが、計量前日に「脱水症状のような」（所属ジム高城正宏会長）症状に見舞われたという。

筋肉に水分を蓄積し、最後の1日で半身浴などで一気に体の水分量を減らすことで体重を落とす方法は減量による過度な肉体的疲労を短期間にできる効果がある。一方で1日限定で水分を排出するために体が「脱水状態」に陥るリスクがある。今回のケースはリスクが体調不良につながり、最後の2～3キロの体重を落とせなかったのだろう。

ここ4～5年、ボクシング界でも減量失格が目立ち、JBCも体重超過に関する規定を厳罰化した。契約体重3％以上は試合中止、試合報酬相当の20％の制裁金、6カ月のライセンス停止の処分などと決めたが、今回は世界戦のため、JBCは石沢に対して重い処分を下す方針。コロナ禍で世界戦の国内開催には数多くのハードルが存在する。計量失格の事態が対戦相手だけでなく、数多くの関係者に迷惑をかけることになる。【ボクシング担当＝藤中栄二】