WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(28=ワタナベ)が団体内王座統一に成功した。

WBA同級正規王者エステバン・ベルムデス(26=メキシコ)との統一戦に臨み、8回TKO勝利で4度目防衛に成功し、昨年3月の米初進出に続き、2戦連続での海外防衛に成功した。

開始から積極的に攻めた。京口の左フックにベルムデスが一瞬、グラつく。多彩な攻めで、1回から主導権を握る。3回にはベルムデスの左目上付近から出血。ドクターチェックで試合が一時ストップ。6回には京口はバッティングで減点1をとられたが、冷静さを失わない。7回にはダウンを奪うが、後頭部を打ったとして減点。それでも8回は開始から猛攻。レフェリーが試合を止めた。最後までペースを離さず、勝利を呼び込んだ。

「本当にタフな相手にKOで勝てたことは誇りに思います。(相手に)素晴らしいファイトをしてくれてありがとうという思いと、反則があったことを謝りました。(敵地で試合に臨んだ理由は)素晴らしい熱のあるメキシコのファンの前で勝つことで自分の価値も高まる。忙しく、真剣に戦いました。(次のステップは)他団体も素晴らしいファイターがいる。最高の舞台で戦いたい」。

京口は昨年3月、米ダラスでアクセル・アラルゴン・ベガ(米国)との3度目防衛戦で5回TKO勝ちして以来、1年3カ月ぶりのリングだった。昨年9月に右手親指周辺を骨折したことを皮切りに、左ひじ負傷、左ひざ腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)炎など続けてけがを負い、スーパー王者としてリング復帰ができない状態が続いていた。

その間、日本では4月9日に村田諒太(帝拳)が世界的スターのゲンナジー・ゴロフキン(カサフスタン)とのWBAスーパー、IBF世界ミドル級統一戦に臨み、6月7日には井上尚弥(大橋)が5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)とのWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級統一戦で再戦するなどビッグマッチが続いた。 京口は「近年の日本ボクシングは今までにない動きがある。従来の流れでは注目されない。国内で防衛戦だけしていても…。メキシコでのチャンスをいただけたので、これをクリアしたい」とあえてアウェーでの統一戦を選択した心境を明かした。あえて逆境というリスクを背負い、ボクシング文化の根づくメキシコでベルトを死守して存在感を示す。「アピールしたい」という有言実行通りにWBAのベルトを統一した。

◆京口紘人(きょうぐち・ひろと)1993年(平5)11月27日、大阪府和泉市生まれ。3歳から父の道場で空手、12歳でボクシングを始める。伯太高から大商大へ進み、14年国体優勝、15年台北市国際カップ準優勝、主将を務める。アマ戦績は52勝(8KO)14敗。16年4月、2回KO勝ちでプロデビュー。17年2月に東洋太平洋ミニマム級王座獲得。同7月、IBF世界同級王座を奪取、18年12月にWBA世界ライトフライ級スーパー王座を獲得し、世界2階級制覇。ザ・リング認定同級王者。身長161・5センチの右ボクサーファイター。家族は両親、兄、姉。