ボクシング元全日本女子ライトフライ級覇者の伊藤沙月(31=志成)が、待望のプロデビュー戦を白星で飾った。

サオワラック・ラリーペンシー(タイ)に判定3-0の完封勝ち。「もっと動けないかなとも思ったけど、感覚としてはよかった。これから本来やりたかったボクシングができるかな」と振り返った。

効果的に打撃を当てていき、一方的な試合展開。最終回にはアグレッシブに攻めこむ姿勢を見せた。「自分のボクシング歴からいうとKOの方が華やかだったかな」と反省も忘れなかったが、「いい6ラウンドだった」と充実感をにじませた。

アマチュア時代は“美人すぎるボクサー”とも言われた存在が、リングに戻ってきた。拓大時代には12年ロンドン・オリンピック(五輪)の強化選手となり、自衛隊でも活躍したが、18年3月に1度競技を引退。外資系保健会社で働いた後、都内でパーソナルトレーナーを務めながら21年8月、志成ジムに入門した。

昨年11月にプロテストに合格。デビュー戦に向け、減量面もトレーナー業を通じて知り合った仲間に栄養指導を受けた。この2カ月間、週3回ペースで5~6ラウンドと計120ラウンドほど消化するなど、備えてきた。「6年ぶりに試合するので、他の選手とは違った意味での準備も必要だったのですが、良い感じで仕上がっています」と手応えがあった。

試合後は「もっとスパーを積んで、いい試合ができたら」と、既に次を見据えた31歳のルーキー。白星を積み重ねていく。