国内現役最年長44歳の王者野中悠樹(渥美)が3度目の防衛に失敗した。日本ミドル級3位能嶋宏弥(26=薬師寺)に6回1分1秒TKO負け。3回にダウン寸前となり、6回にダウン後、試合を止められた。

野中は「相手が強かっただけの話で僕が弱かった。それに尽きます」と完敗を振り返った。相手が本来ウエルター級と2階級下で下馬評は圧倒的優位と見られたが、1回から左ジャブ、右ストレートを被弾。先手を取られリズムを乱した。2回に鼻血を出し、3回には左上まぶたをカット。相手のスピード、キレ、ヒット&アウェーのスタイルを「全部想定内だけど、対応できなかった」という。

国内では対戦相手が限定されるミドル級。とはいえ、海外で容易に挑戦できる階級でもない。それでも「世界」を夢見る男は、V2戦の昨年7月23日以来1年ぶりのリングに立った。世界戦実現のため、KO勝ち、完勝を求めた試合だった。正反対の結末だ。「正直、44歳の1年は結構長い。減量は厳しくなるし、疲れも抜けにくい」と1年のブランクで感じた本音を明かしたが、直後に「でも結果論。勝っていれば問題ない訳でしょ」と話し、年齢的な問題を言い訳ととられることを嫌った。

日本ボクシングコミッション(JBC)のルールでは、37歳に達したボクサーのライセンスは自動的に失効となる。ただ現役王者である限り、ライセンスは更新される取り決めだった。

野中はこの日、タイトルを失ったが、JBCは元王者、世界挑戦経験者、世界ランカーから申請があった場合、コミッション・ドクターの特別診断をクリアすれば、試合を許可することになっている。

野中は今回のタイトルマッチのオプションで11月20日、愛知・刈谷市の薬師寺ジム興行でダイレクトリマッチの権利を持っているが、引退の危機を迎えたことは間違いない。

「すぐに答えを出せる話じゃないので、ゆっくり考えたいです。いや、ゆっくりはできないけど、ちょっと考えたいです」。99年のデビューから、49戦35勝(10KO)11敗3分け。プロ23年、50戦を前に44歳が人生の岐路に立たされた。

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