タイトル初挑戦の日本スーパーウエルター級6位出田裕一(38=三迫)が新王者となった。同級王者川崎真琴(38=RK蒲田)に挑戦し、9回1分52秒、レフェリーストップによるTKO撃破。キャリア18年でタイトル初挑戦のチャンスを生かし、ベルトをつかんだ。

粘り強く前に出て手数多く攻め続け、主導権を握り続けた。19年4月に1-2の僅差判定負けを喫しており、リベンジも成し遂げたて日本王座を獲得した。

出田は17年8月に閉鎖された名門ヨネクラジム出身ボクサー。14年2月での敗戦を最後に約4年間、現役引退していた時期がある。三迫ジム移籍後も勝てず、引退前から含めて11連敗と勝てなかったが、彩子夫人の激励に支えられた。

愛妻から「できる。成長している」と言われ続けた出田は「負けても成長していると思った」と明かす。現役復帰したのは「ボクシングをやってきた証(あかし)を残したい」が理由。三迫貴志会長は「ヨネクラの系譜を持つ選手が三迫で(王座を)取ってくれたことを誇りに思う」と感慨深げに口にした。

今回のタイトル戦が組まれた同興行はヨネクラジム出身の元WBA、WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行氏(大橋ジム会長)のフェニックスバトルだった。中継するフジテレビの解説は同じくヨネクラジム出身の元WBC世界スーパーフライ級王者川島郭志氏(川島ジム会長)が務めていた。三迫会長は「こういう縁があって『ここで取らなかったら』と。長いトンネルだった」と振り返った。

出田にとって今年5月、重田祐紀(ワタナベ)に67秒殺されて以来の再起リングでもあった。しかし引退する気はなく、黙々とジムワークを続ける姿をみせ、三迫会長から現役続行を認められた。タイミング良く、1階級上の王者川崎陣営から対戦オファーが届いた。この転向も王座挑戦のためだった。同会長、横井龍一トレーナー、加藤健太トレーナーと一緒に川崎の動画をチェックし、対策を練ってきたという。

川崎攻略の糸口として接近戦で重心を低く戦うために下半身強化に着手した。今年9月、出田は同門の東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・ライト級王者吉野修一郎らの千葉・鴨川合宿にも参加して走り込んできた。

ジムの総力を挙げた形でタイトル初挑戦に向けて調整してきた出田は「ここまでこれたのは、みなさんの気持ちを背負う意味もあって、心が折れそうになっても最後まで戦おうと思った。今は安心感とうれしさがある。三迫ジムの力、チームの力です」とうれし涙を流しながら何度も感謝の気持ちを口にしていた。

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