ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(33=志成)が自身初の3団体王座統一を見据え、11度目の大みそか決戦に臨む。31日、東京・大田区総合体育館でWBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(27=米国)との2団体王座統一戦に向け、23日に都内で会見。ターゲットに掲げるWBC世界同級王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(32=メキシコ)との3団体王座統一戦を意識し、フランコ撃破に集中する姿勢を示した。

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1週間後に迫った2団体王座統一戦に集中しつつ、井岡は約4年前からターゲットに定めてきたWBC王者を意識していた。3日(日本時間4日)、元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(35=ニカラグア)に判定勝利したWBC王者エストラーダから「彼(井岡)との対戦は特別な挑戦になるだろう。フライ級時代から彼と戦いたかった」と意欲を示された。

井岡は17年大みそかに1度引退を表明。翌18年2月に米国でエストラーダの世界戦を視察し、その5カ月後に現役復帰を表明した。WBC王者の発言を問われ「自分としてはエストラーダを自分の1つの大きな目標に掲げて復帰した。それが一番大きな理由でもあるので、彼に発言させるところまできたという実感がある」と感慨深げに振り返り、こう続けた。

「ボク自身、この試合に勝って望むのはエストラーダとの試合。この流れで目標としてきた選手とスーパーフライ級で頂上決戦できたら一番いいなと思う」

2本の世界ベルトを統一し、23年にWBC王者との3団体王座統一戦を実現させる青写真を口にした。

メキシコ系米国人でWBA王者の強敵、フランコへの対策も3年ぶりの米国合宿で練ってきた。師事する「名伯楽」イスマエル・サラス・トレーナー(65)の下で約2カ月間、実戦練習を中心に調整。約100回というスパーリング数を消化し「心技体、すべてレベルアップできた。大みそかで戦う良い準備ができている。その中で成長した姿をお見せできるのではないか」と口調を強めた。

気持ちは戦闘モードに入っている。「必ずWBA、WBOの統一王者になりたい。今年最後の締めくくりにふさわしい、良い試合を」。22年も大トリを務める自覚とエストラーダ戦実現を胸に最終調整に入る。【藤中栄二】

〇…井岡が王者の「義務」として前WBO世界フライ級王者の中谷との防衛戦を受ける意向を示した。WBOからフランコに勝利後、180日以内にWBOスーパーフライ級1位にランクされる中谷との指名試合を義務づけられている。井岡は「王者として挑戦者を迎え撃つのは当たり前。それが誰であろうと中谷選手であろうと。それはそれで何も思うことはない」と口にした。