プロボクシングWBO世界スーパーフライ級新王者の中谷潤人(25=M・T)が25日、帰国した。20日(日本時間21日)、米ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで元世界王者アンドルー・モロニー(オーストラリア)との同級王座決定戦に臨み、12回KO勝ち。2回、11回とダウンを奪った後、最終12回にオーバーハンド気味の強烈な左フックでモロニーをキャンバスに沈める完勝劇で2階級制覇した中谷は「すごく大きな舞台で良い形で勝てて今はほっとしている」と笑顔を浮かべた。

所属ジムの村野健会長によると初防衛戦は秋頃を予定。指名試合も想定されるだけに対戦相手は流動的だが、強烈フィニッシュ劇を受けて米メディアでは早くも同階級最強と言われるWBC世界同級王者のフアン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)との統一戦を期待する声が出ている。6月24日に元世界4階級制覇王者の井岡一翔(34=志成)の挑戦を受けるWBA同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)、IBF世界同級王者フェルナンド・マルチネス(31=アルゼンチン)らもいるが、中谷は「エストラーダ選手が一番やりたい。(敵地)メキシコでも全然、行きます」と口にした。

試合後、2日間滞在したラスベガスで観光を楽しみ、シルク・ドゥ・ソレイユの名作で水の世界を表現したミュージカル「O(オー)」を鑑賞した。また試合2日後にはモロニーともホテルで会い「良い未来を築いてください」とエールも送られたという。試合で負傷した左眉間のカットは5針ほど縫っているものの「(心身を)回復させて夏に向けて頑張れる体とメンタルをつくっていきたい。(海外で)名前を覚えてもらい、楽しみな1人と思ってもらえたのは良かった」と納得の表情。ボクシングの「聖地」で鮮やかなKO勝利で王座奪取できた収穫を口にしていた。