プロボクシングWBOアジア・パシフィック・ライト級4位の保田克也(31=大橋)がプロ12戦目で初王座に挑戦する。6月3日、東京・後楽園ホールで開催される「WHO,S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT」で同級5位アピチェット・ペッチマネー(33=タイ)との同級王座決定戦を控え、所属ジムで最終調整中。17年8月のプロデビューからキャリア6年目。保田は「やっとチャンスが巡ってきました」と気合を入れ直した。

所属ジムには前4団体統一バンタム級王者井上尚弥をはじめ、現在、世界王者に井上拓真、アジア王者には武居由樹、桑原拓、平岡アンディ、中嶋一輝、日本王者にも松本圭佑と王者クラスがそろう。ジム内でも競争が激しい環境でチャンスは多く巡ってこないと分かっている。自身も昨年2月、現在の日本同級王者・仲里周磨(オキナワ)に敗れており「もう何試合か勝たないとタイトル戦はないと思っていた」という危機感を抱いていた中、待望のタイトル挑戦を迎えた。

今年3月から本格的に12年ロンドン五輪ウエルター級代表・鈴木康弘トレーナーの指導を受けている。技術面とともに実感しているのはフィジカル強化だという。「(鈴木氏の現役時の所属先)自衛隊体育学校のトレーニングがすごく、心拍数を上げるトレーニングでスタミナがつきました。今はスパーリングも終盤で疲れない自信がある」と手応えを示した。

対戦相手となるアピチェットが15勝(5KO)無敗。KOこそ少ないものの、大橋秀行会長は「相手はトップアマ。良い技術戦になると思う。お互いにテクニックは一流。ハイレベルな攻防が繰り広げられるかもしれない」と分析。サウスポーから動きの速さとカウンターを得意とする保田のスタイルが試合展開を面白くしそうだ。序盤はアピチェットの動きを確認しつつ、4回までは確実にポイントを奪うプランが頭にある保田は「スタミナには自信がついたので、終盤に仕留めていきたい」とKOへの意識を高めた。

プロ12戦目で初のメイン登場に「何時に会場へ行けばいいのか。ウオーミングアップはいつやればとか。自分の時間でいいのかを考えてしまう」と不慣れな一面ものぞかせる保田だが、ゴングが鳴れば自然と戦闘スイッチが入る。同門たちの躍進、そして唯一、黒星をつけられた仲里の日本王座獲得…。すべてが「刺激になっている」と口調を強める大橋ジムのホープが、強い決意を持ってリングに立つ。

◆保田克也(やすだ・かつや) 1992年(平4)4月19日、茨城・小美玉市生まれ。6歳から空手を始め、中学1年からキックボクシングに転向。同3年時から地元のBOY,S水戸ジム(中島俊一会長)で本格的にボクシングを開始。中大ボクシング部では主将。13年国体ライトウエルター級優勝など、アマ戦績は64勝(30KO)12敗。就職してから3年後に大橋ジム入門し、17年8月に1回KO勝ちでプロデビュー。身長174センチの左ボクサーファイター。