ボクシングLUSH緑ジム所属の元WBC世界ライトフライ級王者矢吹正道(31)が29日、名古屋市内で兄の元WBC世界ライトフライ級王者・矢吹正道(31)とともに、世界前哨戦を制した報告会見に臨み、かつて“お世話”になっていた少年院を28日に訪れて講話したことを明かした。

2人で愛知の施設を訪問した。力石はやんちゃがすぎた18歳から20歳の間、少年院に入っていた。出所して更正し、ボクシング界で活躍していることから依頼を受けていた。

20~30人の在院者に向けて、熱を入れて話をしたという。「自分のエピソードを中心に話をしました。自分は出所後に成功した1人。経験を踏まえて置かれる環境、目標や夢を持つ大切さを伝えました」。

力石によると、出所後も多くが再犯を繰り返し、抜け出せない現状があるという。力石が挙げた「環境」に「地元に帰らない」があった。「出てから1度も地元には帰っていない。帰ってしまうと、昔の仲間とまた、となってしまう。自分は兄貴と話して、ボクシングをやろうと(最初は)東京に行きましたから」。ボクシングで成功する夢だけを携え、地元との悪縁を絶ってここまできた。

入所期間、中学1年からの教科書を取り寄せて勉強をやり直したという。漢字検定2級に合格、準1級にも挑戦した。「勉強は嫌いじゃない。一時は真剣に東大に行けると思った」と話し、「ボクシングを引退したら大学受験に挑戦したい」と夢を描いた。

力石は日本時間23日にローマでWBCスーパーフェザー級シルバー王者(日本未公認)マイケル・マグネッシ(イタリア)を最終12回の大逆転KOで倒した。