<プロボクシング:WBA世界スーパーバンタム級王座戦>◇31日◇東京・有明コロシアム×王者・李冽理(28=横浜光)17勝(8KO)2敗1分12回判定3-0○同級6位・下田昭文(26=帝拳)23勝(10KO)2敗1分<1回>

 序番から挑戦者の下田が積極的に前に出る。初防衛の緊張からか李は動きがやや鈍い。下田のボディへのストレートが的確にヒットし、ぺースを握った。<2回>

 下田は引き続き、前に出る。特に左ボディをよく、効果的にポイントを奪っていく。一方の李は左ジャブにスピードがなく、ロープを背にしながらの戦いが続く。<3回>

 下田が1分過ぎに強烈な左フックでダウンを奪う。手数で圧倒し、王者を追い詰める。左のフックで李がふらつくシーンも見られたが、残り5秒で李が右ストレート1発でダウンを奪い返した。<4回>

 互いにダウンの影響は見られないが、主導権は前に出る下田。特に右のリードパンチがよく、李は下がる一方。残り20秒で、再び下田の左フックで李がふらつくが、しのぎきった。終盤の攻防で、下田が目尻を大きくカット。<5回>

 5回終盤、偶然のバッティングで右目尻を大きくカットした下田だが、前に出る姿勢は変わらない。2分30秒過ぎに、アッパー狙いで前に出てきた李に対して、再びカウンターの左フックで2度目のダウンを奪う。李は、執念で立ち上がり、連打を浴びるが、しのぎきった。<6回>

 完全にペースは下田。李が踏み込み右ストレートを狙うが、バックステップでかわした下田の左フックが顔面にヒット。手数だけでなく、ディフェンス面でも下田が上回っている。<7回>

 下田の攻勢が止まらない。右のリードパンチで距離を取りながら、前に出て行く。特に、李の大振りの右フックをかわしてから、懐に飛び込む攻めが効果的。2分過ぎには、李が右ストレートからの連打で反撃。残り10秒からは両者が足を止めての激しい打ち合った。<8回>

 1回から表情はまったく変わらない李だが、ベルトを奪取した時のスピードがなく、下田のボディを受け、後退するシーンが目立つ。1分45秒過ぎには、下田の右フックを側頭部に浴び、3度目のダウンを喫したが、残り1分を耐え切った。<9回>

 ペースは下田。右のリードパンチがよく、完全に自分の距離で試合を進める。ボディで李のガードを下げさせると、左フックを顔面にヒットさせ、李をぐらつかせた。下田は同じモーションで、左ボディと左フックを巧みに打ち分けている。<10回>

 ポイントでリードを許した李は、足を止めて打ち合いに出る。2分過ぎには、李の連打で下田が後退するシーンも。互いの意地がぶつかり合う激しい戦いとなった。<11回>

 10回に続き、両者が足を止めて接近戦で打ち合う。疲れが見えるが、互いにショートパンチの応酬。残り20秒を切ってから、下田が連打も李は踏ん張る。<12回>

 倒すしかない李は、ゴングとともに前に出るが、下田は上半身を大きく振りながら、ウエービングでかわす。さらにしっかりとガードを固め、逃げることなく、打ち合った。最後は、両者が完全に足を止めて、激しく打ち合ったまま終了のゴング。115-111、118-109、118-109の3-0の判定で、下田が世界初挑戦で新王者となった。