WBA世界フェザー級8位の細野悟(28=大橋)が25日、原点を意識して王者をKO撃破する意欲を示した。31日、横浜文化体育館で同級王者セレスティノ・カバジェロ(35=パナマ)との世界戦(日刊スポーツ後援)に挑む。25日に横浜市の所属ジムで練習を公開した。中央台北中2年時、母登美子さん(59)に贈られた大橋秀行会長(46)著のボクシング入門書を読み、競技に興味を持った。公開練習時には「これを母が買ってきてくれた」と原点の入門書を読み返した。

 東日本大震災で大きな被害に見舞われた福島・いわき市出身。最大の武器となる左ボディーは磐城二高(現磐城緑蔭高)時代に身につけた。身長180センチの細身王者にボディー攻撃は効果的だけに、細野は「自分の軸が左ボディー。必ずKOで勝ちます。いわきは原発で大変な時期。必ずベルトを地元に持ち帰る」と、原点のある生まれ故郷に朗報を贈るつもりでいる。

 カバジェロはWBA世界スーパーバンタム級王座の10度防衛を誇る2階級制覇王者。試合当日、いわき市から駆けつける約100人の応援団の後押しを受ける細野は「勝てないと言われているが、穴はある。下馬評を一発でひっくり返したい」と、静かに闘志を燃やしていた。【藤中栄二】