ボクシング元世界ヘビー級王者マイク・タイソン氏(47=米国)が、“ペニス偽装”を告白した。英米メディアの電子版によると、タイソン氏は12日発売の自伝「Undisputed

 Truth(明らかな事実)」の中で、薬物使用を初めて自らの言葉で認めた。00年以降は、薬物使用をごまかすために、ボクシングの試合前に他人の尿を入れた偽物の性器を下半身に着けていたことも明かした。

 股間のふくらみは、偽装だった。タイソン氏は著書の中で、わずか38秒でTKO勝ちした00年6月のルー・サバリース(米国)戦で、偽のペニスを使い、薬物検査の陰性反応を得ていたことを明かした。

 「試合前に薬物で興奮状態になって、尿検査をごまかす方法を思いついたんだ。偽物の性器に他人のクリーンな尿を入れておいて、それを試合前に着けていたんだ」。その後も自身のスタッフに偽ペニスを持たせ、試合の度に使っていたという。しかし00年10月のアンドリュー・ゴロタ(ポーランド)戦の後、マリフアナの陽性反応で逮捕された。他人の尿でうまく偽装できなかったようだ。

 02年1月、レノックス・ルイス(英国)戦の発表会見で乱闘騒ぎを起こした時も、コカインを使ったと明言。「自分を見失っていて、ルイスを見たら、すぐ殴りたくなった。戦いの歴史は、薬物の歴史だよ。偉大な将軍や戦士は、みんな薬物で興奮状態だ」と、自身を正当化していた。04年7月にダニー・ウィリアムズ(英国)に敗れる前も、薬物を使ったという。タイソン氏は少年時代、ニューヨークのスラム街で育ち、11歳で初めてコカインを使用。飲酒は赤ん坊の時からしていたという。著書では、コカインやマリフアナにおぼれた人生を振り返った。「完全な薬物中毒者だった。薬を使ったことで、そううつが激しくなった」と後悔した。

 05年に現役を引退し、最近は俳優活動と薬物依存症からのリハビリを並行。しかし今年8月には「重度のアルコール依存症で、死のふちにいる」とテレビ番組で話し、周囲を驚かせていた。<マイク・タイソン

 アラカルト>

 ◆生まれ

 1966年6月30日、米ニューヨーク生まれ。2歳の時に父親が蒸発。母親に育てられた。

 ◆ボクシング

 86年に20歳5カ月でWBC世界ヘビー級の史上最年少王者になった。87年にはWBAとIBFを含めた3団体統一に成功した。

 ◆トラブル

 91年には知人の女性をレイプしたとして、92年に禁錮6年の有罪判決を受けた。95年に仮釈放され、96年にWBC世界ヘビー級王座に復帰。しかし97年6月のイベンダー・ホリフィールド(米国)戦で相手の耳を2回かみ、失格負け。その後も暴行、器物損壊、薬物所持などの容疑で逮捕された。