<新日本:両国大会>◇13日◇両国国技館

 新日本のエース棚橋弘至(37)が、IWGPヘビー級王者A・J・スタイルズを破り、史上最多となる7度目の王座戴冠を果たした。約1年半ぶりのタイトル戦となった棚橋は、相手セコンドの妨害にも負けず、ハイフライフロー2連発で仕留めた。来年1月4日の東京ドーム大会では、この日、内藤との王座挑戦権利証争奪戦を制したオカダ・カズチカと初防衛戦を行う。

 ベルトを巻いた棚橋の目に涙が光った。超満員のファンに「ただいま~」と3度叫んだ。「お帰り」と温かい声が客席から返ってきた。誰よりもベルトが似合う男が、再びエースの座を手に入れた。その横にベルト挑戦権を手にしたオカダがいた。「くすんだ太陽には新日本は照らせない」と言われた。しかし棚橋は「オカダは太陽にはなれない。なぜならオレがいるから」と言い放った。

 苦しい戦いだった。序盤は一進一退の攻防。20分過ぎ、ハイフライフロー2連発で勝負を決めたと思った瞬間、王者側のセコンドがレフェリーを場外に引きずり落とした。その後は何度もピンチをはね返した。最後は、再びハイフライフロー2連発。27分4秒の熱戦に終止符を打った。

 昨年4月7日の両国大会で、オカダに王座を奪われた。それから1年半。インターコンチネンタル王座には就いたが、団体の最高峰、IWGP王座へ挑戦の声はかからなかった。今年で38歳。今月10日にはレスラー生活15年の節目も迎えた。世代交代の波は、いやでも迫ってくる。それでも「15年間、道場で練習して1試合1試合、何千試合とやってきて、その積み重ねがあるから今がある」と、持っているものすべてをスタイルズ戦にぶつけた。

 7度目のIWGP王座戴冠は6度の藤波を抜き、単独1位。そして、次の東京ドームで5年連続メーンを張る。そんなことも大きなモチベーションになった。最後に棚橋は言った。「異論はあるかもしれませんが、新日本はオレが中心じゃないと面白くない」。エースの座はまだまだ渡せない。【桝田朗】