東前頭6枚目臥牙丸(28=木瀬)が初金星を挙げた。

 横綱日馬富士(31)を押し出しで破り、4勝目。のど輪に耐え、右のはずで押し込むと、バランスを崩した横綱の右足が土俵を割った。座布団が乱れ飛ぶ様子を眺め「あ~、良かった。初金星! 神様、ありがとう」と夢心地に浸った。

 夢は現実となった。前日は仲のいい玉鷲(30)が同じく日馬富士から初金星。「相撲のサイトを見ていたら、玉鷲もある。栃ノ心も…。俺も欲しいなと思っていた」と明かした。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)からは「右を開くな。そうすれば、お前も勝てるかもしれない」と助言された。「勝てるチャンスはこれぐらい」と、親指と人さし指の間をわずかに開く程度。緊張のため夜中3時まで寝付けなかったが、望みどおりの結末に「親方の言うとおりにしてよかった」と胸をなで下ろした。

 4月22日から、日本でも母国の名称がグルジアから「ジョージア」に変わった。故郷で体調を崩している母ニノさん(53)とは毎日連絡をとっており「絶対喜んでくれる」と興奮気味に話した。孝行息子が手にした初めての殊勲は「ジョージア」としても初めての金星。歴史の新たな1ページは、ひときわ輝いている。