秋場所での幕下転落が確実で引退が決定的な元関脇の十両若の里(39=田子ノ浦)が20日、長い旅路を終えた。18年の関取人生。全国47都道府県を10周はしたという巡業の“最後”は故郷青森の七戸町で迎えた。遠藤との番外取組後には、弟弟子の大関稀勢の里から花束が贈られた。「大関にこんなこと言うと失礼だが、かわいい後輩の1人。地元で卒業式を開いてくれたみたいで本当にうれしい。忘れられない巡業になりました」と穏やかに喜んだ。

 朝の握手会に始まり、髪結い実演にも登場。若の里のための1日だった。遠藤との番外取組は、相撲協会の計らい。尾車巡業部長(元大関琴風)は「最後に遠藤と取って、皆さんに喜んでもらおうと」。初めて取った若の里の、最後の決まり手は上手投げ。「今までやってきた一番得意な投げで」。そして「遠藤は僕も期待している1人。最後の相手が遠藤で良かった。昨日は輝と取ったし、思い残すことがない」と笑った。

 十両力士が前日に帰京する中、故郷青森とあってこの日まで同行していた。「最後の夏巡業は毎日楽しかった。本当に力士になって良かった。できることならまだまだ力士でいたい。でも、現実を受け入れてね。近日中に発表します」。17日に父善造さんが急逝した中で、力士としての役目を最後まで全うした。そして、父が眠る弘前市の実家へと向かった。【今村健人】