三段目を制したのは東11枚目の福轟力(ふくごうりき、29=荒汐)だった。6戦全勝が3人いたが、最初に将豊竜(時津風)が敗れ、優勝決定は福轟力と竜虎(尾上)の一番で勝った方に絞られた。その一番は、もろ手突きで立った竜虎に対し、福轟力は冷静に対応。相手の足がそろったところでタイミングよく引いて、相手を土俵にはわせた。各段優勝は初めて。「ずっと優勝はしたかったので、本当にうれしいです」と喜んだ。顔中に無精ひげ。験担ぎで今場所2日目の一番相撲に出る前に剃って以来、生やし続けていた。「見た目がアレですから。ひげ剃りも持ってきているんで、この後、すぐにでも剃ります」と笑顔で話し、報道陣の笑いを誘った。

 05年九州場所の初土俵から13年目。3年前には関取の座は目前となる、幕下5枚目まで番付を上げた。だが、首の故障を抱えたまま右足首をケガし、かばった無理もたたり、膝、左足首も痛めた。「調子を崩して相撲がバラバラになって、思い通りにならなくて低迷しました」と福轟力。ケガも癒え「ここ数場所は落ち着いて平常心で、ガムシャラだけでなく考えながら」やったことで浮上のきっかけをつかんだ。「この全勝を起爆剤に来場所から落ち着いて取れるようになります」。その来場所は幕下15枚目前後への浮上が予想される。「最高位の更新、その後は十両を目指します」と希望の光をとらえた。