新十両で西13枚目の矢後(23=尾車)が、念願の関取初白星を挙げた。

 相手は、きっぷのいい突き押しと軽快な動きでかく乱する同11枚目の阿炎(23=錣山)。「うるさい相手だったので、つかまえてしまえば大丈夫だと思った」と話す通りの相撲だった。立ち合いで胸からぶちかまし、突き放すと左がサッと入った。右も前まわしを引き、深く差した左は結び目付近をつかみ、阿炎を反撃不能な体勢にさせた。さらに右はかいなを返す盤石の相撲。寄り切って、新十両4日目に初白星をつかんだ。

 「かなりホッとしてます」と素直に吐露した。自らの性格を「マイナス思考。悪いように考えてしまう」と分析するだけに、この3日間の精神状態を矢後は「かなり考え込んで、このまま負け続けてしまうのでは、と思っていた」と打ち明けた。

 関脇嘉風(35)や部屋の関係者から「まだ3日。気にすることはない」という励ましの声や、関取になって1場所15番取れるというほんの少しのプラス思考で臨んだ一番。安易な気分転換などに頼らず「朝、きちんと体を動かして、生活面もよく寝てよく休んで」と普段通りを貫いて、マイナス思考と正面から向き合った。「この勝ちを機に、もっともっといい相撲を取りたい。今日で断ち切りました。まだ始まったばかりなので精いっぱい、頑張ります」。本来の相撲を取り戻し、5日目以降の白星量産を目指す。