横綱白鵬(32=宮城野)が11月30日、東京・両国国技館で行われた日本相撲協会の理事会に師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)とともに呼び出され、九州場所千秋楽の優勝インタビューでの発言や、観客に万歳三唱を促した行為について厳重注意を受けた。理事会に現役力士が呼び出されるのは極めて異例。最近では11年の八百長問題で、力士が大量に呼び出された例がある。

 この日午前、白鵬は滞在先の福岡から東京へ航空機で降り立った。午後1時半に国技館に着き、そのまま自身の車の中にいた。呼び出されるまで時を待った。

 問題視されたのは、千秋楽の優勝インタビューだった。「場所後に真実を話し、うみを出し切って、日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいなと思います」と“勝手”に宣言。さらに観客を巻き込み万歳三唱を促した。

 この時点では暴行問題は調査の段階で、事態の究明も道半ば。あきらかに先走りだった。さらに、白鵬自身が酒席に参加しており、危機管理委員会の中間報告では貴ノ岩に対する白鵬の「説教」が、日馬富士の暴行の引き金として記されている。はた目には“自分勝手”と映るのも無理はなく、厳しい声が上がった。

 約3時間半の理事会の最後に呼び出した八角理事長は「横綱の品格に関わる言動で、今後は慎むようにと私から厳重注意をしました。(11日目の)嘉風戦の物言い(待った)についても、横綱の品格を損なわないようにと理事会から厳重注意をしました」とし「宮城野親方と白鵬は謝罪していました」と説明した。

 日馬富士の暴行問題でその場に同席していた力士への処分について、高野利雄危機管理委員長は「今、そのようにはこの時点では考えておりません」とした。

 午後4時19分に車で後にした白鵬はその際、報道陣と接触せず。口を開くこともなく、再び福岡へ戻った。