大相撲の西十両12枚目貴ノ岩(28=貴乃花)が26日、京都・宇治市の貴乃花部屋宿舎で朝稽古を行った。昨年11月に元横綱日馬富士関による傷害事件発覚以降、公の場に姿を見せたのは初めて。28度目の誕生日に春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)で3場所ぶりの復帰を目指して始動した。

 まだ薄暗い午前5時過ぎ、貴ノ岩が稽古場に姿を現した。白まわし姿で、四股などの基礎運動を行い、新十両の貴公俊とのぶつかり稽古で胸を出してはぶつかった。稽古後には平幕の貴景勝らと談笑するなど柔和な表情も見せていたが、外で待ち受ける報道陣を避けるように稽古場の裏から宿舎へと戻っていった。

 師匠の貴乃花親方(元横綱)は、今年1月に部屋の公式ホームページを更新し、貴ノ岩の春場所での復帰を目指していることを明らかにしていた。だが、稽古後に貴ノ岩の状況を問われると「何も答えられません。申し訳ありません」と話した。

 東前頭8枚目だった昨年の九州場所を全休し、東十両3枚目に陥落した初場所も全休した。通常なら幕下に陥落する危機だったものの、傷害事件の被害者という立場を配慮されて、初場所を全休しても診断書を提出すれば、春場所は「十両最下位」にとどめる特例措置が理事会で決まっていた。春場所の十両最下位は「14枚目」だが、7力士が十両と幕下を昇降下。バランスを考慮して据えたと思われる12枚目の位置で、昨年秋場所以来の本土俵に立つ準備を整える。【佐々木隆史】