横綱白鵬(33=宮城野)が15日、さる9日に肝臓がんのため76歳で死去した父ジジド・ムンフバトさんの葬儀に参列していた故郷のモンゴル・ウランバートルから日本に戻った。

 到着の成田空港で取材に応じた白鵬は「無事、最後までお見送りしました」と自ら切り出すように話した。葬儀が行われた13日は、その日だけ大雪が降ったという。「足元は悪かったけど、逆に雨降って地固まるという、ことわざもある。雨や雪は、モンゴルでは縁起が良いもの。最後の最後も、自然も味方して(亡き父を)包んでくれた」と感慨深げに話した。

 葬儀は早朝の6時半から執り行われ、レスリングでモンゴル初の五輪メダリストとなった国民的英雄を見送ろうと、国内の政財界、スポーツ界はじめ約1500人が参列したという。葬儀会場は、ムンフバトさんがモンゴル相撲やレスリングで活躍した旧スポーツ宮殿。新しい相撲宮殿で営まれる計画もあったようだが、白鵬たっての希望で“旧国技館”での葬儀となった。2020年東京五輪に「また(亡き父と)一緒に見たかったな、という目標は失ったけど、今後、どのような形で戦うのか、努力するのかは、自分次第になる」と悲しみを胸に、決意を新たにした。

 11日から休場していた春巡業も、16日の東京・靖国神社奉納大相撲から合流する。帰国を許可してくれた日本相撲協会に「配慮してくれた協会には感謝の気持ちでいっぱい」と謝意を示しつつ「明日から仕事を全うします。精いっぱい、春巡業を務めて、心と体を整理して夏場所に臨みたい」と横綱の重責を口にしていた。