日本相撲協会は28日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き「土俵と女性について」という異色の議案で約1時間話し合った。外部役員も交えて議論し、意見を集約。八角理事長(元横綱北勝海)が談話を発表した。談話では、今月4日の春巡業で、京都府舞鶴市の市長が土俵であいさつ中に倒れた際、救命処置を施す女性看護師らに、行司が土俵から下りるよう場内放送した件をあらためて謝罪。「女性を土俵に上げないことを伝統としてきましたが、緊急時、非常時は例外です。人の命にかかわる状況は例外中の例外です」と、今後も緊急時は土俵の女人禁制を解く考えを示した。

 また春巡業では兵庫県宝塚市の中川智子市長が土俵であいさつできず、女性差別と訴えた。同市長が相撲協会に要望書を提出したことで、この日の臨時理事会開催に至った。八角理事長は、女性客の6割以上が土俵の女人禁制を反対しないという10年前の東海大の調査結果を明かすと同時に、今後は観客以外も対象に同様のアンケートを行いたい考えも明かした。「この問題につきましては私どもに時間を与えていただきたくお願い申し上げます」と、引き続き議論する姿勢だ。

 土俵で子供が関取衆に挑む巡業の名物企画「ちびっ子相撲」も4月に2件、けがの訴えがあり、八角理事長は「いったん休止し、そのやり方を根本から見直したい」とコメントした。安全が確保されれば8月の夏巡業で再開する。負傷を懸念して見送られている女子の参加も「再検討いたします」と約束した。