大関2場所目でかど番を迎えた栃ノ心(30=春日野)が29日、東京・両国の春日野部屋で約2カ月ぶりの本格的な稽古を再開した。

新大関の名古屋場所で負傷し、途中休場する原因となった右足親指は完治には遠いが、幕下3人と三段目の計4人を相手に26番取った(24勝)。ぶつかり稽古のように胸を出し、相手に押させ土俵際まで下がって寄り返すという稽古は行っているが、仕切ってから立ち合う、いわゆる相撲を取る稽古は名古屋場所以来のことだ。

相手のいなしや変化に体が泳ぎ、土俵を割る2番もあり「スタミナが全然ない。2カ月近く稽古していないから、感覚を忘れている」と遠ざかっている相撲勘を嘆いた。また患部を気にしてか「まだ怖くて踏ん張れない。稽古で怖さをなくすしかない」と現状を語った。

ただ持ち前の明るさ、前向きさは忘れない。「ケガをするのは慣れているから」と話すように、一時は幕下まで陥落した膝の負傷などをプラス思考に転じるように「膝の時はもっと怖かった。それに比べれば(今回の右足の)指は大したことはない」。秋場所初日まで2週間を切っているが「まだ時間はあるし大丈夫。少しずつ治ってくるよ。落ち込んでいる場合じゃない。大丈夫」と前向きなコメントも。栃ノ心本人の意思としてはこの日から行う予定だったが、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)から「幕下とやれ」とストップをかけられた関取衆との稽古も「明日(30日)はやるよ」。まずは陥落阻止の勝ち越しを目指し、調整を続ける。