8場所連続休場から、進退を懸けて出場している稀勢の里が、横綱昇進後、初の横綱戦白星で10勝目を挙げた。立ち合いで右から張って左を差し、鶴竜を止めたが、上体を起こされて苦しい体勢。約25秒も両者の動きが止まった後、強引に左からすくって土俵際に追い込むと、休まず攻めて寄り切った。新横綱だった昨年3月の春場所は優勝したが日馬富士、鶴竜との横綱戦は2連敗。その後、1年半も休場が続いた。鶴竜からの白星は一昨年九州場所以来、約2年ぶりだった。

前日13日目は白鵬に完敗したが、この日は我慢の相撲で鶴竜を退けた。横綱撃破で2ケタ白星到達に、阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は「意味ある一番だ。四つになれば(横綱相手でも)やれるというのが分かったのでは」と、復活と進退問題解消に近づいた印象を受けた様子だった。それでも本人は「明日まだありますから」と11勝目へ貪欲。「連敗なし」と「横綱、大関戦連勝」を手土産に、来場所に向かうつもりだ。