西前頭筆頭北勝富士(26=八角)が5場所ぶりの上位戦を満喫した。高校相撲の強豪・埼玉栄高の先輩、大関豪栄道に押し出しで敗れたものの、土俵を動き回る激しい攻防で館内をわかせた。

「いや~、ちょっと引いちゃいましたね」と言うが、本当の敗因? は別のところにあった。「興奮しすぎちゃった」と笑う。「上位との対戦が久々すぎて。場内のあの雰囲気がもう“たまんね~”って思うほど気持ちよくて」。大関戦は東前頭筆頭だった今年初場所以来5場所ぶり。夏場所を「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニア、右大腿(だいたい)四頭筋肉離れ」で途中休場し、名古屋場所は東前頭16枚目まで転落した。

「幕尻からよく2場所で(前頭筆頭まで)戻れたなと思う。だから、上位とやるのが超うれしい」。2日目も大関高安戦。「明日は興奮しすぎないよう、ちょっと調整します」と言う表情は、ただただ明るかった。