大関陥落から即返り咲きを目指す関脇栃ノ心(31=春日野)が玉鷲を下し、4連勝を決めた。土俵際に追い込まれたが、得意の右四つに持ち込んで寄り切った。新大関の昨年名古屋場所の対戦で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を損傷、途中休場に追い込まれた因縁の相手を退け、大関復帰条件の「10勝以上」に、残り6勝とした。全勝は横綱鶴竜、平幕の朝乃山との3人になった。

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栃ノ心が耐えた。土俵際まで押し込まれたが、右を差し、左まわしを引いて反撃。玉鷲の巻き替えで、得意の左上手をがっちり引けて力勝負で寄り切った。「よく我慢できた。危なかったけどね」。玉鷲には新大関だった昨年名古屋場所6日目に敗れ、その1番で右足親指付け根の靱帯を損傷、途中休場に追い込まれた。強敵と認める相手。「今日の白星は大きいね」とうれしそうだ。

節目の1勝だ。現行のかど番制度になった69年名古屋場所以降、大関陥落者は18人(21例)。翌場所に10勝以上を挙げて返り咲いたのは三重ノ海、貴ノ浪、武双山、栃東(2度)の4人(5例)だけだが、成功者の最長連勝は「4」だ。最高の成功例に並んだ。

「まわしを取れたら自信がある」と公言する男が、4日連続でまわしを取った。「まだ(10勝は)考えたくない。1つ1つ。まだまだこれから」と慎重さは崩さないが、自然と力は湧いてくる。「調子、悪くないね。焦らないで、前に出る。このまま悪くならないようにしたい」。気づけば勝ちっ放しは3人だけ。賜杯レースも引っ張りながら、返り咲きに挑んでいく。【加藤裕一】