横綱鶴竜(33=井筒)は、前頭4枚目隠岐の海(33=八角)を寄り切って8勝1敗とし勝ち越しを決めた。

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初日の御嶽海戦、2日目の北勝富士戦の当たりを見て鶴竜の、今場所の好調さは予想できた。とにかく立ち合いの踏み込み、当たりの強さは今までとは違う。まわしにこだわらないで、一気に持っていくのが今場所の鶴竜だ。勝負を早くつけたいという気持ちの表れかもしれない。これまでも前半を好調に走りながら、中盤以降に1つ負けると崩れることがあった。だから初黒星翌日の、この日の相撲に注目していたが完璧だった。余計に引き締めて臨んだはずだ。性格からして優勝は横綱がしなければならないという「1人横綱」の責任感も今はプラスに働いている。優勝争いの中心なのは間違いないが、鍵を握るのは3敗の両大関。全勝で独走されているわけでなく、直接対決も残されている。白鵬も新大関も不在の場所で最後まで奮起してほしい。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)